研究課題/領域番号 |
19K20001
|
研究機関 | 徳山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
宇野 直士 徳山工業高等専門学校, 一般科目, 准教授 (70713212)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 網膜色素変性症 / 視覚障害 / 障害物回避 / ロービジョンケア / ガイド歩行 |
研究実績の概要 |
ロービジョン者が生活空間を移動する場合、モノやヒトに触れることで得られた触覚情報をフィードバックして立位バランスを保持し、歩幅や歩行速度を調節し安全な移動を企図する。これまでに、若年者や高齢者、先天盲者を対象として、モノを介した触覚情報が姿勢動揺や歩行調整等の制御に寄与することが明らかにされている。一方で、保有視覚が異なるロービジョン者の触覚情報と姿勢・歩行制御の関係性は明らかにされていない。また、照度などの周辺環境の影響について考慮して検討を進める必要もある。 当該年度は、ガイドによる手引き歩行を利用した際のロービジョン者(重度の網膜色素変性症患者)の足部位置感覚と段差昇降動作に関する実験を実験空間の照度を変化させた環境で行った。その結果、ロービジョン者は暗環境(20lux)において障害物を探索する場合、保有視力のみの条件よりも把持したガイド(ヒト)より得られた水平・垂直方向の触覚情報を統合した条件において、身体の位置感覚や障害物回避動作が正確に安定する特徴を示した。また、情報探索方略を視覚のみ、言語情報+視覚、触覚のみ、視覚+触覚の条件で行った実験においても、視覚+触覚の探索方略がロービジョン者の障害物回避動作を最も安定させる結果となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の中期以降に予定していた実験が新型コロナウイルス感染症の予防等措置の影響を受けたため実施が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
当該年度は歩行や障害物回避動作を対象に、様々な感覚情報と視覚情報の関係性を明らかにした。次年度は引き続き積極的な研究成果の公表に努めるとともに、残る実験を予定通りに遂行する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた実験が新型コロナウイルス感染症による影響を受けて延期せざるを得なかったため、実験に必要な物品購入や出張旅費を支出することがなかったため。次年度は国内における感染症状況を見定めながら、当初の予定通りに実験を進めていきたい。
|