若年者や高齢者、先天盲者を対象として、モノを介した触覚情報が姿勢動揺や歩行調整等の制御に寄与することが明らかにされている。一方で、眼疾患の種類や進行度によって保有視覚が異なるロービジョン者の触覚情報と姿勢・歩行制御の関係性は解明されていない。そのため本研究では、①保有視機能と立位制御の関係性を解明し、②ヒトを介した触覚情報がロービジョン者の歩行制御に与える影響について検討することを目的とした。 本年度までに保有視機能と立位・歩行制御の関係性や、ヒトを介した触覚情報がロービジョン者の歩行制御に与える影響について検証し、論文および学会での成果発表をおこなった。また、ロービジョン者を手引き歩行する際の留意点等の情報発信を一般向けにおこない、当事者からも研究成果に対する意見を得た。当該年度は、一連の研究成果を基にして各保有視機能に応じた最適な歩行援助方略を検討するために、視覚リハビリテーション学会などで歩行訓練士や眼科医、視覚障がい者などに対して積極的な成果共有に努めた。
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