アスリートの下肢のパワー発揮能力の評価として、これまでジャンプ高が多く用いられてきたが、近年はより実際の競技に即した「高くかつ早く」動く能力を評価する指標として、ジャンプ高と動作時間の比であるReactive Strength Index Modified (mRSI)が注目されている。当該年度では、mRSIの即時フィードバックによりトレーニング効果が向上するという仮説を立て、フォースプレートを用いてPythonでプログラムすることによりmRSIを即時でフィードバックするシステムを自作し、4週間のジャンプトレーニング(反動ジャンプ5試行4セットを週2セッション、4週間、計8セッション)によるmRSIの変化を検証した。両群ともに「できるだけ早く、かつ高く跳ぶ」よう教示し、フィードバック群にはさらに「表示されるmRSIを高くするように跳ぶ」よう教示を加えた。ジャンプ高とmRSIの値を毎試行フィードバックする群10名と、何もフィードバックしない群10名に分けて実験を行い、プレポストテストにてトレーニング効果を比較した。フォースプレートにより、反動動作開始から離地までの時間と、その時の力積からジャンプ高およびmRSIを算出した。その結果、ジャンプ高は両群とも同等に向上したが、フィードバック群は動作時間を維持していた一方で、フィードバックなし群は動作時間が延長し、mRSIはフィードバック群のみ向上した。以上のことから、より競技に即したパフォーマンス評価であるmRSIを即時でフィードバックするトレーニングの有効性が示された。
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