跳躍動作はスポーツにおいて非常に重要な動作であるが、高い跳躍能力の選手をさらに向上させることは難しく、そのためにはトレーニング科学、バイオメカニクス、運動学習の知見を総合し、選手個人の特性に合ったトレーニングを処方する必要がある。本研究期間内に、①高い跳躍高を可能にする跳躍動作のバイオメカニクス的特徴を明らかにすること、②ジャンプ高を測定する機器の妥当性、信頼性を検証すること②ジャンプトレーニング中のフィードバックの内容によりジャンプパフォーマンスが変わるのかどうかを検証することを目的として研究を行った。 ①では、様々な競技のエリートアスリートを対象とし、腕振りなしの反動ジャンプを行った。身体にLEDマーカーを貼付し、ハイスピードカメラおよびフォースプレートにより地面反力および各LEDの座標を取得した。その結果、跳躍高の高かった選手は股関節のピークパワーが大きいという傾向が明らかになった。 ②では、慣性センサーを腰ベルトに装着し、フォースプレートの上で反動ジャンプを行った。フォースプレートから算出したジャンプ高(力積および滞空時間法)と慣性センサーから取得したジャンプ高は非常に高い信頼性を有していたが、滞空時間法および慣性センサーには数cmの系統誤差が存在し、その誤差の程度は個人で大きく異なることが明らかになった。 ③では、ジャンプパフォーマンスを即時フィードバックするジャンプトレーニングを4週間実施した。その結果、フィードバックした指標を高めることができたが、一方で誤差の要因を増幅したり、他のジャンプ指標を過度に損ねたりするような負の効果も確認できた。
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