研究課題/領域番号 |
19K20016
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
柏木 悠 専修大学, 商学部, 講師 (30738638)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歩行動作 / 発育発達 / 足部内側部アーチ |
研究実績の概要 |
2年目の本研究における研究実績は、小学生児童の足部内側縦アーチ(MLA:Medial Longitudinal Arch)の横断的発達の検討を行なった。目的としては、立脚期中のMLAの運動学的変数を計測し,発育に伴う歩容,立位時および立脚期中のMLA構造の変化を明らかにすることであった。被験者は小学校男女児童247名を対象とした。足部形態計測は、三次元足形分析装置INFOOT(I-Ware Laboratory社製)を用いて収集した.また、歩行中の足底における力学的情報の収集には、足底圧分析器(Novel-emed-xl, 100Hz)が埋設された歩行路上を,被験者が普段歩く際の速度で通過するように指示を行い,歩行中の足底荷重および時空間変数を測定した.立脚期中のMLAの変化を計測するために2台のデジタルビデオカメラ(GC-LJ20B, JVC KENWOOD社製,240fps)を用いた.足部のランドマークの貼付位置は,第一中足骨頭,舟状骨,踵骨内足部とし、貼付されたランドマーク位置からMLA角度、MLA高およびMLA長を算出した。 立脚期中のMLAの変化量は,立脚期後期に足底荷重第二ピークにみられ、伸長したMLAの短縮により前方への推進力を生成していることが示唆された.しかし、発育によるMLAの立脚期中の変化量に違いはみられなかった。立位時および立脚期中のMLA構造の変化は,足長に依存しており,発育に伴い相対的に変化することが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の研究計画は、全体的にやや遅れてしまっている。これは、初年度に被験者の調整がつかなかった計測の遅れと同時に、昨年度に予定してい測定計画の多くがてコロナ禍によって中止となってしまった。特に、データとして不足している被験者の年齢層が成人から高齢者のため、感染症リスクが高いために測定を見送らざるを得なかった。研究データの分析環境においては、ハイスピードカメラと同時に自動トラッキング画像分析ソフトウエアを導入したため、作業効率が格段に向上した。足底圧データの分析方法に関しては、新たな評価方法を検討し、その分析のための解析プログラムの構築を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方針としては、コロナ禍の情報を考慮して、対象とする被験者の年代を広げるかどうかの検討が必要となる。現状としては、今年度においては難しい判断となるため、研究期間の延長も視野に入れる必要性がある。このような部分を考慮して、再度、本研究の目的や明らかにする範囲を再検討をする。 子どもから高校生までのデータの蓄積は十分に揃っているため、特に、歩行中の時空間パラーメターと足底圧分布データの関係性を検討することによって、足底圧データからヒトの歩行パターンの推定に着手し、歩行パターンの定量的評価を試みる予定である。特に発育発達や加齢に影響しない普遍的な歩行中の足底圧分布パターンがみられるかがポイントとなる。この部分が明らかになることは、今後、簡易的な足圧センサーから歩行やランニングのパターンを運動者にフィードバックすることによって、リハビリテーションや運動学習への活用が期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、コロナ禍による国際学会の中止や、予定していた実験の中止によって被験者や測定検者へのアルバイトバイト謝金の支払いが生じなかったためである。旅費に関しては、今年度も学会の開催が見込まれないため、主に地域への測定の旅費に充てたり、また、測定時の感染症予防対策が必要となるため、予定している測定検者の増員などアルバイトバイト謝金に充て安全な測定環境で実施する予定である。
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