研究課題/領域番号 |
19K20024
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研究機関 | びわこリハビリテーション専門職大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆彦 びわこリハビリテーション専門職大学, リハビリテーション学部, 助教 (50780813)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 敏捷性 / 方向転換 / 体力測定 |
研究実績の概要 |
敏捷性は、試合状況に応じて様々な方向に素早く疾走する能力であり、球技スポーツの競技パフォーマンスを決定する一因である。敏捷性は知覚・判断能力と方向転換走能力から構成されるにも拘わらず、既存の敏捷性テストや動作分析では知覚・判断能力が反映されないタスクが用いられてきた。敏捷性向上に繋がる知見を得る為には、知覚・判断能力と方向転換走能力の双方が発揮されるタスクにおいて、優れた敏捷性を生み出す運動学的特徴を抽出することが望まれる。そこで本研究課題では、知覚・判断能力を反映した敏捷性を評価するテストの開発に取り組んでいる。本研究課題で開発するテスト装置は、スタート位置を中心とした円周上8か所に設置したLEDランプとプッシュスイッチによって構成される。今年度、計測を繰り返し行った中で、ハードウェアの不具合が生じた。これは主に、8か所に設置した各装置間を有線で接続していたことに起因していた。ランプの点灯順を制御する為の信号線の長さに対して制御マイコンが用いる電圧が低いことで、ノイズの影響により正常に動作しないことがあった。そこで今年度は、各装置間の接続を無線方式に変更する機器改修に取り組んだ。一般的にマイコン間の無線通信は無線LANルーターを介して行われる。しかし、本研究で開発している測定装置はスポーツ現場での運用が想定される為、最低限のハードウェアで構成することが望まれる。そこで、特定モデルのマイコン間のみで運用可能な特殊な通信プロトコルを用いることで、無線LANルーターを介さないランプの点灯順制御を実現した。配線が無くなった為、各スイッチを正確に配置することが求められるようになった反面、各装置を自由に配置すること、および装置の数を容易に変更することが可能となった。この仕様変更によって、無限のテストプロトコルが実現可能となり、本装置の応用の可能性が飛躍的に向上した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、コロナウィルス感染症の再拡大に伴い、予定していた計測がキャンセルされるなど、計画通りのデータ収集を行うことが出来なかった。限られた被験者で繰り返し計測を行う中で装置のハードウェア面における問題が浮き彫りとなったことから、本年度は装置のハードウェア面における大規模な改修に取り組み、上記の通り意義深い成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
本年度取り組んだ装置の仕様変更により、ハードウェアとしてのブラッシュアップには一先ずの決着を見た。来年度は、コロナウィルス感染症の影響で滞っているアスリートを対象としたデータ取得に取り組む。当初計画では、バスケットボール部、ラグビー部、サッカー部、アメリカンフットボール部、ハンドボール部に所属する大学生各20名、合計100名を対象に、本研究で開発した反応敏捷性テストの結果を従属変数、既存の敏捷性テスト(Illinois agility test) および知覚・判断能力テスト(Visual Reaction Time、Eye/Hand Coordination)の結果を独立変数とする重回帰分析を行うことで実用性を検証し、高スコア群と低スコア群の間で動作方略を比較する予定であった。コロナウィルス感染症の影響によるデータ取得の遅れを鑑み、実験可能な被験者数に留めることで来年度中に計画全体を完了する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染症の影響により、アスリートを対象としたデータ取得と学会への参加が計画通りに行えなかった。これにより、被験者への謝金として計上していた人件費、学会旅費および参加費として計上していた旅費とその他が大幅に余剰している。これらの一部は、アスリートを対象としたデータ取得が行えなかった間に取り組んだ装置改修の為に物品費として支出されている。アスリートを対象としたデータ取得は来年度実施予定であり、学会参加についても既に予定されている為、人件費、旅費、その他は執行される予定であるものの、当初計画には満たないと想定される。これらが物品費に充当されることで、最終的には物品費の割合が当初計画よりも増える形で本研究課題を終了する予定である。
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