2022年度は当初の計画から実験手順を見直し、運動様式を持久性運動から間欠的運動へ、運動前の冷却を汗の蒸発の促進が期待できる運動間の冷却へ変更し、その際の体温動態の変容を検討することとした。12名の男性被験者をリクルートし、検討する予定であった。COVID-19の影響で6名の実施となった。6名の男性被験者は、テニス競技を想定した間欠的運動を実施した。間欠的運動のプロトコルは、26.6 mを6秒間で走り切り (平均時速16 km/h)、その後休息を20秒間取るように設定する。この26秒間の運動と休息のサイクルを1ポイントとする。1ゲームは6ポイント、1セットは8ゲームで設定し、4セットで構成する。国際テニス連盟の規則に準拠し、奇数ゲーム間に90秒、セット間に120秒の休息を設定した。身体冷却は2試行を実施し、被験者はゲームおよびセット間の休息時にICE試行では体重1 kg当たり1 gのアイススラリー (-1℃) を摂取し、COM試行ではICE試行と同様の飲料摂取に加えて、送風衣服を着用した。 本研究では統計の事前検定において12名の被験者が必要であることが示されているため、加えて6名を追加し、実施する予定である。
研究期間全体では、2019年はパイロットスタディとして日光および日陰下の暑熱運動時における体温動態と持久的運動能力の相違を検討し、暑熱環境下に日光による輻射熱が加わると、皮膚温が持久的運動能力の決定要因になることが示唆された。2020年度において輻射熱を含んだ暑熱環境下における種々の身体冷却が体温動体および持久性運動能力に及ぼす影響を検討した。運動前のアイススラリー摂取および送風の複合冷却はアイススラリー摂取のみと比べ、運動前の深部体温の低減に寄与せず、持久的運動能力の改善ももたらさないことが示唆された。この研究では送風冷却による恩恵はなく、仮説とは異なる研究結果となり、2022年度の研究を行なった。
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