研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染拡大と研究代表者の所属先変更に伴い、実験3-1において計画していた、低酸素環境に順化していると想定される登山家での検証が不可能になった。そこで実験3-2で計画していた、間欠的低酸素暴露が認知疲労抑制に有効か明らかにする実験を前倒しで実施した。4,500m相当の低酸素環境(11.9%酸素濃度)に1日60分、1週間暴露させ、その前後に認知疲労テストとして、標高3,500m相当の低酸素環境で10分間中強度運動を行い、その運動前後に実行機能課題であるストループテストを実施し、運動前後でストループ課題の反応時間の遅延(認知疲労)が間欠的低酸素暴露によって変化するか検証した。その結果、間欠的低酸素暴露が低酸素下運動中のSpO2低下を改善し認知疲労を改善する傾向が得られた。 認知疲労を抑制するためのトレーニングとして、低酸素順化が有効である可能性が示された一方で、認知疲労の効果が小さく、トレーニング効果の検出が困難である課題が確認された。そこで、課題難易度を調整し、認知疲労の検出力を高めるための検証を実施することにした。実行機能課題の一つであるN-Back課題に着目し、ストループ課題同様難易度を複数に分け、脳活動とともに評価できるか確認した。その結果、本学所有の核磁気共鳴画像法(MRI)によってN-Back課題時の脳活動を評価できることを確認した。現在、N-Back課題とMRIを用いて認知疲労を確認するために、低酸素環境での運動の影響の検証を開始した。
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