研究課題/領域番号 |
19K20038
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
小倉 圭 滋賀大学, 経済学部, 特任講師 (00805848)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 野球 / 内野守備 / 捕球形態 / バックハンド / パフォーマンス |
研究実績の概要 |
本年度は,野球の内野守備における正面捕球およびバックハンド捕球を行った場合の送球パフォーマンスを状況ごとに比較検討し,両捕球方法の有効性を明らかにするための基礎的知見を得ることを主な目的として研究を実施した. 大学野球内野手8名を対象に両捕球方法の送球パフォーマンスを分析したところ,①打球の右側に回り込む余裕が少なくなるほど,正面捕球では主にステップ局面時間,バックハンド捕球ではステップ局面時間およびボール加速局面時間が長くなり,ボール保持時間が長くなること,②正面捕球では打球の右側に回り込む余裕が少ない状況での送球速度が,余裕がある状況に比べて有意に低下したが,バックハンド捕球ではエリア間で有意な差はみられなかったこと,③捕球方法間に統計的な有意差はみられなかったが,比較的打球の右側に回り込む余裕がある状況では,ボール保持時間,送球速度,送球精度ともに正面捕球がバックハンド捕球に比べて高いパフォーマンスを示す傾向にあったことが明らかになった. これらのことから,打球の右側に回り込む時間的余裕のある場合では,送球パフォーマンスの観点からはあえてバックハンド捕球を行う必要性は小さいと考えられた.一方で,打球の右側に回り込む余裕のない場合では,バックハンド捕球を行うことにより正面捕球を行った場合に比べて送球速度および送球精度を維持できる可能性が示唆された. 本研究において,打球の右側に回り込む余裕が少ないほどバックハンド捕球の有効性が高まるということを,客観的な送球パフォーマンスから初めて明らかにすることができた.この結果は,守備指導の現場にも役立ち,今後バックハンド捕球のパフォーマンスをさらに明らかにするうえでの基礎的な知見となると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
捕球形態の違いによる送球パフォーマンスの比較実験において,十分な基礎的知見が得られたこと,また,動作比較を行うための実験についても当初の予定より早めに行うことができ,その分析作業についても順調に進行しているため.
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今後の研究の推進方策 |
当初は,捕球形態の違いによる捕球パフォーマンスの比較実験を先に行う予定であったが,動作比較を行うための実験を早めに行うことができたため,2020年度は,それぞれの捕球形態における詳細な動作の特徴を明らかにすることを主な課題として進める予定である.また,対象者数は当初予定していた人数で行うことができているが,より詳細なデータを得るため,新型コロナウイルスの状況を十分に鑑みながら,可能な限り様々な技能レベルの対象者に協力を依頼し,対象者数を増やしていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定より,様々な技能レベルの対象者に協力依頼を行うことが可能となったため,協力チーム・対象者への謝金,分析補助費などに使用予定である.
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