研究課題/領域番号 |
19K20044
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
玉城 将 名桜大学, 健康科学部, 准教授 (80599233)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 卓球 / 回転 / 3次元計測 / コンピュータビジョン / 機会学習 / カメラキャリブレーション |
研究実績の概要 |
卓球におけるボールの回転と返球ミスとの関連を解析することを目指し、本年度はボールの回転計測システムの開発を行った。システムの機能は(1)ボール検出、(2)カメラ校正、(3)時間ずれ推定、(4)軌道計測、(5)回転計測の4つに大別できる。まず、ボール検出の安定性を改善した。本システムでは機械学習(AdaBoost)を用いてボールを検出しているが、これまで、学習データは手作業で時間をかけてヒューリスティックに行うものであった。本研究では正解データを読み込むことで、自動的に不正解データを収集し、よりシステマティックに機械学習を実施するヘルパープログラムを構築した。このプログラムにより、ボール検出の性能が向上するとともに、学習データセットの管理が簡易化された。次に、競技会会場で実施しやすいカメラ校正機能を実装した。具体的には、任意の校正点(3次元位置が既知の点)を用いて射影行列を求める機能に加え、卓球台上の校正点から精度よくカメラ校正を実施できる機能を開発した。この機能により、競技会会場で行われる試合を対象とした計測の実施が大きく簡易化された。実際に競技会で行われる試合を対象に計測を実施したところ、従来手法と比較してボールが検出される割合が高くなったことにより、回転が計測できる割合も大きく改善された。また、カメラ校正の簡易化により、計測を実施できるケースが増え、多くのデータを収集することができた。今後、収集されたデータに基づき、ボールの回転と返球ミスの関連について統計的に解析を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は回転計測システムの構築が目的であったが、それは概ね達成されている。次年度の目標である多くの試合映像を収集する、に問題なく移行できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
昨今のCOVID-19の感染状況およびスポーツイベントが開催されない状況からは、多くの試合映像を収集することが、今後の研究を推進する上で非常に難しい課題になる可能性が高いと考えている。数少ない計測機会に多くの試合を計測するなど、実施可能な範囲内で、なるべく多様な競技水準、多くのサンプルを対象に研究を進められるよう工夫する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
複数の国際大会において試合映像の撮影を実施する計画であったが、いずれも競技会運営者の承認が得られず、撮影が実施できなかったため、旅費および人件費の支出が大きく計画を下回った。COVID-19の感染状況を考えると、今後は、少ない機会で多くの試合を計測できることが重要になると考えられる。そのため、国際大会での撮影を予定していた予算は、計測用の機器を複数セット購入するなど、計画変更に伴う支出に充てる予定である。
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