研究課題/領域番号 |
19K20054
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
下門 洋文 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (50757911)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 水泳 / 運動学習 / 流体力 / 筋シナジー / 圧力 |
研究実績の概要 |
本研究はヒトが泳げるにようになる現象を解明するために、スイマー周りの流れと神経状態の変化を同時に捉えることを目的としており、2020年度は熟練スイマーを対象とした計測を行った。 流体力学分野における水流可視化手法である粒子画像流速測定法(Particle Image Velocimetry method; PIV法)を用いてスイマー周りの流れを可視化した。このPIV法では、水中に粒子を散布し、観察領域へレーザ・カメラを設置するため実験設定が煩雑である。これまで回流水槽(いわゆる水泳版のトレッドミル)での計測を行ってきたが、これを発展させ、屋内プールで熟練スイマー周りの流れを可視化することに成功した。 これまで、スイマーの力計測を試みた多くの研究があるが、力の大小が水流の変化に起因する現象のため解釈が難しかった。本研究では、水中ドルフィンキックで推進するスイマー後流に発生した渦の状態を定量化し、水の運動量変化を時間差分で除することでスイマーが水中を推進する際に得たであろう推力を見積もることができた。先行研究では、循環を用いて推力を推定しており、同様の方法で推定された推力は62.2±19.4 Nであった。一方、近年の研究では水棲生物の後流に形成される渦輪から推力を推定する方法が報告されており、この方法を用いて推定した推力は19.74±12.5 Nであり、前者の値よりも低くなった。牽引泳で見積もったヒトのキック泳中の推定推力値が20~30Nと報告されていることから、渦輪による推力推定方法が理論値に近いことを報告した。この手法と筋活動計測を組み合わせることで、水中を推進しているスイマーの神経系と流体との関係性を評価していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナによる人の往来制限があり予定していた計測は行えなかったが、次年度には実施できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
熟練スイマー(オリンピアン含む)、一般スイマーのクロール泳中の筋活動、流体力、水流可視化を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナによる制限によって、予定していた対象者の計測が行えず謝金の支払いがなかったこと、学会発表による旅費の使用がなかったため。次年度は、対象者を増やした計測を計画しているため、謝金として支払う予定である。
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