研究課題
「研究目的」骨格筋は、スポーツ動作を含む身体運動中にその長さを伸ばしながら力を発揮する、伸張性収縮を行う場面が多い。高強度の伸張性収縮によって筋損傷が誘発されると考えられている。筋損傷は、遅発性筋肉痛や身体運動パフォーマンスの低下を引き起こすため、筋損傷が生じる詳細なメカニズムの解明は重要な課題である。近位と遠位の二つの関節をまたいで骨に付着する筋を二関節筋と呼ぶ。過去の研究で、二関節筋は筋損傷が生じやすいことや、伸張性収縮に関連したスポーツ傷害が発生しやすいことが報告されている。そのため、二関節筋を対象として筋損傷のメカニズムを解明することができれば、痛みや身体機能の低下を防ぐための効果的な手段の確立につながることが期待できる。本研究では、二関節筋が、運動様式や関節角度の影響を受けて特徴的な振る舞いをみせるという点に着目し、筋損傷のメカニズムを解明することを目的としている。「研究方法」と「研究成果」先行研究において、二関節筋の筋束動態が関節角度の影響を受けることが報告されている。そこで、運動中における二関節筋の筋束長の変化が小さいと予想される関節角度条件と、大きいと予想される関節角度条件で伸張性運動を行い、運動翌日に生じた筋損傷の程度を比較した。その結果、二関節筋の筋束長の変化が大きいと考えられる関節角度条件で運動を実施した方が、二関節筋の筋損傷の程度が大きかった。以上の結果から、運動中における筋束の長さ変化が、損傷の大小と関連していることが示唆された。加えて、これまでに行った研究の成果を発表するための準備や成果発表について、進展がみられた。派生データについて、国際学会での発表と国際誌へ掲載することができた。
2: おおむね順調に進展している
大規模な実験はおおむね終了し、発展的な実験に着手できているため。
筋損傷の発生は、スポーツ傷害の発生に関わる可能性がある。本研究に関する発展的な実験として、伸張性運動と障害に関する追加実験を行う予定である。加えて、現在分析中のデータをまとめ、学会や学術論文として発表する。
実験データの分析が完了しておらず、成果発表ができていない。それに関連する経費を使用するに至らなかったため。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
European Journal of Sport Science
巻: Online ahead of print ページ: 1~7
10.1080/17461391.2022.2097129