研究実績の概要 |
本研究では、表現遊びに着目し児童から現れる「個性的な動き」とはどのような動きかを児童の発想に焦点をあて明らかにするとともに、「個性的な動き」を引き出すための指導法を検討することを目的とした。 先行研究において、児童から現れた模倣の動きを「形骸模倣」、「誇張模倣」、「オリジナル模倣」の3つに分類しており(成瀬ら,2014)、本研究ではこの「オリジナル模倣」が「個性的な動き」であると定義した。成瀬ら(2018)は量的な分析により模倣の動きを分類するための観点を明らかにしており、「オリジナル模倣」は、模倣する題材の形態を越えた動きであり身体全体で動いている動きと示し、動きを外観的に捉え分析を行ってきたが、児童が題材をどのように捉えて「発想」したかという視点に関しては研究されていない。そのため、「個性的な動き」をしている児童の題材に対する発想や認識を探り、その特徴を明らかにすることで、「個性的な動き」を引き出す指導法を開発することを試みた。 研究方法として、小学校2年生を対象に様々な動物の絵カードを準備し即興でそのものになりきって動く授業形式の実験を行った。その後児童全員にアンケート調査を実施し、その後抽出した9名の児童にインタビュー調査を行った。また、当該年度は実際にどのような指導をしたら「個性的な動き」が現れるのかを授業形式で行い、分析をした。 その結果、「個性的な動き」をしていた児童は題材に対する自身の経験を思い起こし、そのときに感じたことを動きに表している傾向にあった。反対に「形骸模倣」をしている児童は単語のみの短い回答であり、題材に対する経験はあるもののその題材の様子をそのまま記憶してている傾向にあった。指導については、児童の発想を深めるような「問いかけ」を重視した授業を行い、児童の動きの高まりを検証した。
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