本研究では,距離を変化させた1歩ハードル走と3歩ハードル走の踏切および着地動作を比較することにより,1歩ハードル走を技術トレーニングとして用いる際の留意点について明らかにするとともに,ハードル間の距離を選択するための指標を作成することを目的とした. ハードル走を専門とする熟練者11名を対象として,3歩ハードル走および1歩ハードル走それぞれの3台目ハードルの踏切から着地までの区間を,三次元自動動作分析装置を用いて250Hzで測定するとともに,走路に埋設した4枚の床反力計をシステムと同期させ,踏切および着地における地面反力を1000Hzで測定した.ハードル間の距離は,先行研究をもとに2m,3m,4mの3種類とした. 昨年度までの研究結果として,踏切局面においてはハードル間距離が3mおよび4mの試技で固有試技に近い特徴を示すものの,水平方向の減速量に関しては異なる特徴を示すことが明らかとなっている.本来であれば本年度は,これらの研究結果をもとにトレーニング実験を行い,1歩ハードル走のトレーニング効果について明らかにする予定であった.しかし,新型コロナウイルス感染症の影響により実験を実施することができず,研究が進まなかった.そのため,研究期間を1年間延長し,トレーニング実験を実施して分析を進めるとともに,これまでの研究結果について学会や学術誌等に公表する予定である.
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