本研究は特別な教育的支援を必要とする生徒に通じる球技の指導方略を提案するために教育的支援が必要となる生徒が通う通信制高等学校において,3年間に渡る参与観察を実施した.その結果,体育教師には球技の教材を用いて①生徒の身体を介した関係性の構築②人・制度といった階層構造をなした働きかけを通して生徒のパトスを調整する実践知を有していると解された.また,ゴール型ボールゲームにおける「ボールを持たないときの動き」の身体図式を現象学的運動分析によって呈示した.これらの現象学に基づく意識や共感の仕組みを拠り所として導出した知見を援用することで,本研究が企図する球技の指導が実践可能となる。
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