アスリート育成パスウェイを確立していくためには、ジュニア期においてどのようなトレーニングを行う必要があるのかを体系的に示すこと重要な課題である。そのためには、コントロールテストなどによってアスリートの現在位置を把握することが重要となる。加えて、ジュニア期のアスリートについては生物学的成熟度の個人差を考慮することが必要がある。 陸上競技を専門とする男子および女子中学生を対象に、これまで蓄積して収集しているデータに対し継続して縦断的に測定を行った。測定項目は、同様に身体計測およびコントロールテスト(50m走、立幅跳、立五段跳、片足ホッピング、クイックジャンプ、メディシンボール投げ、握力、自転車ペダリングテスト)であった。そして、身長、体重、座高および生年月日よりPHV相対年齢(PHVA)を推定した。加えて、女子については新たに小学生のデータも収集した。これにより、女子のpostPHVに偏りがあったデータにprePHVAのデータを加えられ、補完することができた。 これまでに明らかとなったprePHVAおよびpostPHVAと各種コントロールテスト項目との関係に加えて、PHVを基準とした発達傾向から検証するとコントロールテストパフォーマンスの発達傾向はテスト項目によって異なることが示唆された。そして、その傾向は男女差が見受けられた。すなわち、コントロールテストから予測するパフォーマンスと個人の発育発達を考慮することによって、トレーニング方針を決定する変数として活用できる可能性が示唆された。
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