研究課題/領域番号 |
19K20083
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
梶 将徳 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (90824582)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 体育授業 / 小学生 / 内発的動機づけ |
研究実績の概要 |
本研究は,体育授業の「成功体験」を概念的・構造的に明らかにした上で,学習者が成功体験を味わうプロセスモデルを実践的に明らかにすることを目的としている.この目的を達成するために,本研究では,以下の3点について検討することとした.①1947年から2017年に至るまでのわが国の体育授業を,体育の教科目標に即して3期に分けて,各時期における体育授業の「成功体験」を概念的に明らかにする.そして,各時期の「成功体験」の概念の特徴を明らかにする.②小学校の体育授業における成功体験尺度の開発を通して,成功体験の構造を明らかにし,さらに,成功体験と学習者の学習方略との関係を明らかにする.③実際の体育授業を対象に参与観察および授業の授業者・学習者への面接調査を行い,成功体験のプロセスモデルを実践的に明らかにする. 2019年度は,①・②を中心に研究活動に取り組んだ.①については,当初の予定通り,各時期における体育授業の成功体験を概念的に明らかにすることができた.①で明らかにすることができた研究成果は,論文にまとめ国内ジャーナルに原著論文として投稿する予定である. ②については,当初の予定通り,全国の小学校の児童を対象に質問紙調査を実施することができた.そして,回収した質問紙のデータをもとに分析を進め,9月の体育学会にて学会発表を行った.来年度は,さらにデータの分析を進め,国内ジャーナルに原著論文として投稿する予定である.また,②の研究を進めていく中で,学習者の成功体験を検討する前提として,個人内と「環境」といった個人外要因との相互作用に着目する必要があった.そのため,体育授業における適応感を探索的に明らかにした.この研究成果は,原著論文にまとめ,国際誌において発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画にあった初年度の調査研究はほぼ予定通り進行したが,文献研究の論文執筆のみ,次年度以降に持ちこしとなっている.この点については,今後の課題として継続的に試みていく.他方で,次年度の実施予定であった実践研究については,一部前倒して実施することができた.このような実践研究の一部前倒しの実施は文献研究の遅れを補完すると考え,当初予定していた計画より「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2年目以降については,当初の研究計画から若干の変更の可能性がある.なぜなら,新型コロナウイルスの影響により,2020年度の小学校における教育活動の再開が遅れ,体育の授業にも大きな影響があると考えられるからである.当初の計画では,2年目(2020年度)に体育授業の参与観察ならびに面接調査を実施予定であった.この点については,当初の計画通り実施できるよう学校側と調整中である. また,初年度に取り組んだ文献研究と調査研究については,論文として投稿するために執筆を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画には,資料の印刷費や質問紙の郵送費,またデータ入力に伴う人件費等が含まれていたが,これらの経費を抑えることができ,その分が次年度使用額となった. 次年度の使用計画は,主に実践研究の実施に伴う旅費や人件費,用品費等として計上する予定である.
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