研究課題/領域番号 |
19K20084
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小野 雄大 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 講師(任期付) (60779271)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 体育会系 / 大学紛争 / スポーツ推薦入試 / Meritocracy / Athleticracy / スポーツ教育 / 学生アスリート |
研究実績の概要 |
本研究は,学生アスリートの有するコンピテンシーを明らかにした上で,学生アスリートの教育支援に資するための授業モデルを構築し,提案することを目的としている.2年目にあたる2020年度は,主に以下の3点の課題に取り組んだ. 1つ目に,日本の全大学の「2021年度スポーツ推薦入試入学試験要項」の分析を通して,現在のスポーツ推薦入試の実態を計量的に明らかにした.具体的には,1) 現在でも多くの大学においてスポーツ推薦入試が大学経営上の理由を含意しながら存在していること,2) 日本社会におけるスポーツ推薦入試のメリトクラティックな選抜機能の様相,3) スポーツ推薦入試の希少性やオリジナリティの形骸化などを明らかにした. 2つ目に,日本の学生アスリートのキャリア観の構造を探索的に明らかにするために,全国の学生アスリートを対象として質問紙調査を行った.その結果,1) 学生アスリートのキャリア観は「セカンドキャリアのスタート」など5因子構造を有すること,2) 男子の方が高いキャリア観を有していること,3) スポーツ推薦入試入学者や競技実績の高い学生アスリートのキャリア観の高さなどが明らかになった. 3つ目に,日本の学生アスリートの進路選択に生じる悩みの構造を探索的に明らかにするために,全国の学生アスリートを対象として質問紙調査を行った.その結果,1) 学生アスリートの進路選択に生じる悩みは,「『競技継続』をめぐる悩み」など5因子構造を有すること,2) 性別や学年では顕著な差がみられないこと,3) スポーツ推薦入試入学者は進路選択に悩みを抱えやすいことなどが明らかになった. 以上のように,2020年度はスポーツ推薦入試の入学試験要項の分析と学生アスリートを対象とした調査研究の実施に努めた.これら3課題の研究成果は原著論文としてまとめ,国際誌において発表予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに進展している. 文献研究のための資料収集は,昨今の社会情勢の影響を受けて滞っているものの,学生アスリートを対象とした調査研究は予定通りに実施することができた. 資料収集を中断した分,調査研究を前倒しで実施することによって,全体の進捗を調整した.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,学生アスリート(スカラーアスリート)のコンピテンシーを明らかにするための複数の調査研究(質問紙とインタビュー)と文献研究に取り組んでいく.引き続き,社会情勢に留意しつつ,研究対象校や研究対象者と綿密にコミュニケーションを取りながら,慎重かつ精緻に進めていきたい.
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では,2020年度に海外での調査研究を実施予定であった.しかし,新型コロナウイルス感染症の蔓延により海外で調査が実施できなかった.そのため,既受領額累計と支出額累計に差額が生じることとなった.
|