研究課題/領域番号 |
19K20094
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研究機関 | 神戸親和女子大学 |
研究代表者 |
椿 武 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 准教授 (40582515)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 剣道 / 初心者 / 打突動作 / 気剣体の一致 / 竹刀 / 操作性 |
研究実績の概要 |
剣道初心者に限られた授業時間内で熟練者のような気剣体の一致した打突を修得させることは非常に難しい。これまで、打突動作に類似した運動の実践など指導方法の工夫による検討が行われている。打突動作は、1m以上の竹刀を短時間に振り上げ、振り下ろしをする操作を行い、同時に下肢の動作を協調させる必要がある。特に、実践的な打突を行う場合、竹刀を素早く操作しなければならないため、初心者は熟練者以上に操作する竹刀による影響を身体に受けると推察される。 そこで、本年度は、剣道初心者を対象に同じ重さで長さの異なる3種類(3尺9寸、3尺8寸、3尺7寸)の竹刀を用いて面打突を行わせ、竹刀による打突と右足の踏み込みのタイミングの時間差から竹刀の長さと気剣体の一致の関係を明らかにすることを目的とした。 被験者(剣道経験のない女子大学生)には、長さの異なる竹刀を持たせ一歩で打突できる距離(各被験者の足一刀の間合い)から実践的な打突動作を各条件10本成功試技が出るまで行わせた。その際、右足の踏み込み位置と打ち込み台の打突部にマットスイッチとテープスイッチを貼付し、打突と踏み込みの時間差を計測し、竹刀の長さよる影響及び各被験者の身長に対する竹刀の長さと時間差の関係について検討した。 竹刀の長さと時間差の関係においては、竹刀の長さによる時間差への影響は認められなかった。しかしながら、身長に対する竹刀の長さが短い時は長い時と比較して時間差が少なく、熟練者の様な打突動作様式に近づいた。このことから、各被験者の身長に応じて操作を行いやすい適した竹刀の長さがある可能性が示唆された。 以上のことから、気剣体の一致した打突を修得させるには被験者の身長に合わせた長さの竹刀の選択の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究はやや遅れている。理由として、コロナウィルスの感染拡大により、大学等への入構制限により、予定していた実験の実施が困難になったことが大きな原因である。2021年度では、検者及び被験者の安全確保に十分注意しながら、当初予定していた実験計画を完遂できるよう努力を行なっていく。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の実験では、長さの異なる竹刀による打突動作時の打突と踏み込みの時間差を検討し、身長に応じて操作しやすい竹刀がある可能性が示唆された。このことから、まず本年度の研究成果の公開に向けた準備を進める。さらに次年度の実験では、打突と踏み込みの時間差が短かった打突と通常の長さでの打突時の動作の比較を行い、竹刀の操作性を高め時間差を短縮させた動作要因を明らかにする。これを行うことによって、打突動作時の竹刀操作に関わる身体運動の要因を明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、コロナウィルスの感染拡大により予定していた実験が行えなかったため、検者や被験者への謝金が発生しなかったことが原因である。次年度は、当初予定よりも多くの被験者に実験参加のお願いをするため、今年度の繰越金を使用する予定である。また、次年度は動作分析の実験に使用する消耗品や実験竹刀の破損に備える予備の必要もあり、その他の助成金については当初の計画に沿って使用する。
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