研究課題/領域番号 |
19K20096
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研究機関 | 聖カタリナ大学 |
研究代表者 |
栗田 昇平 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 准教授 (40759255)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 体育授業 / 情意・社会的領域 / ダンス授業 / 協同学習 / アクティブ・ラーニング / 小学校高学年 / 主張性 / 認知的共感性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、情意・社会的領域の学習成果に対応したダンス授業の指導及び学習の在り方を明らかにすることであり、2019年度は、指導計画の検討を行うことと、検討した指導計画に基づいて1回目の授業実践を行いデータを収集することを予定していた。 指導計画の検討については、2018年度に実施された日本体育学会において各専門家からいただいた意見を集約したダンス授業の指導案をたたき台に、体育科教育学及びダンス授業の専門家である大西先生(びわこ成蹊スポーツ大学)、体育科教育学の専門家である日野先生(愛媛大学)とその学生、また、愛媛県で小学校体育専科教員の経験もある濱本先生(鶴島小学校)の協力もあり、質の高いものを作成することができた。 授業実践については、濱本先生を中心にご協力いただき、10月に小学校5年生を対象にバンブーダンスを題材とした表現運動の体育授業を行うことができた。 研究データとして、質問紙(体育授業の形成的授業評価、主張性・認知的共感性尺度、学級適応感尺度)の実施とフィールドノートの作成を行った。質問紙の結果については、次の通りである。まず、体育の形成的授業評価の評点が「関心・意欲」をのぞき全時間において最高得点の「5」を示した。対象である児童に肯定的に受け入れられた授業であったことが推察できる。次に、主張性・認知的共感性、学級適応感については、単元の事前と事後の平均値の比較を行った(t検定)。結果として、全項目の間に有意差がみられ、実施された授業が情意・社会的領域の学習成果に対応したものであることが明らかになった。さらに、事前の値を上位と下位に群分けして検討した結果(2要因分散分析)、下位群の顕著な変化が認められた。 以上が2019年度における研究成果である。2020年度はフィールドノートの分析によるダンス授業の成果を規定する要因の検討と2回目の授業実践を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究活動を計画していた兵庫県から、愛媛県に転勤して初年度ということもあり、研究フィールド作りに苦慮することを当初想定していたが、それにも関わらず、愛媛大学の日野先生を初め、鶴島小学校の濱本先生、びわこ成蹊スポーツ大学の大西先生、平成国際大学の西村先生、その他多くの方々にご協力いただき、大変満足のできる授業実践、研究活動をさせていただいた。また、授業実践を行うにあたり、相談・検討する体制が整っていたこともあり、研究データについても精度を高く収集することができたと考えられる。当初予定していなかった3月中の研究データの公表まで計画されていたが、新型コロナウイルスの影響でそれ自体は取り止めになった。逆にいえば、2019年における研究データの公表は研究の進捗状況が良好だからこそできたことであり、この点でいえば、2019年度の研究の進捗状況については、当初の計画以上に進展していると述べることができる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、フィールドノートの分析によるダンス授業の成果を規定する要因の検討と2回目の授業実践を行う予定である。しかし、新型コロナウイルスの影響もあり、学校の教育活動がいつ再開されるか不透明であり、仮に再開されたとしても昨年度と同様の授業実践ができるか未定である。また、集会などの禁止により、学会等における研究成果の公表が可能になる時期も不明瞭であると言わざるを得ない。現在、以上のような条件が、想定されるため、研究計画の変更も検討しておく必要がある。 対応策が必要な事項としては、主に授業実施に関することと、研究発表に関することに分けられる。まず、授業実施に関することとしては、学校側の負担も考慮しながら連絡を取り合い、大学と教育現場との関係を維持しつつ無理のない範囲で研究に協力していただくことである。仮に本年度に授業実施が出来なかった場合は、研究の先延ばしも考慮する必要がある。次に、研究発表に関してであるが、新型コロナウイルスの影響がいつまで続くか不透明なため、情報を収集しつつ可能な範囲で、学会大会等への参加を検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月において行われる予定であった研究発表会への参加費及び旅費として利用する分が、新型コロナウイルスの影響による研究発表会の中止によって残ったものとみられる。翌年度における使用計画については、研究授業をしていただく小学校及び中学校への出張費用として利用する予定である。
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