研究課題/領域番号 |
19K20098
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
斎藤 辰哉 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学部, 契約研究員 (60758085)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 飲料摂取 / 運動 / 脱水予防 |
研究実績の概要 |
飲料摂取は、日常生活、一般の運動習慣者、アスリートと様々な場面において活用できる脱水予防の方法の1つである。本年度の研究目的は、運動前飲料摂取の有無が運動時の脱水予防に及ぼす影響を明らかにすることとした。対象者は、健康な成人男性9名(23 ± 3歳)であった。実験条件は、運動前に飲料摂取を行わない条件(Control条件)および飲料摂取を行う条件(Water条件)の2条件を実施した。実験当日に対象者は、運動開始25-20分前に飲料を400mL摂取した(Water条件のみ、水温:6℃)。50%VO2maxの運動強度で15分間の自転車ペダリング運動を3回実施し,運動間の休息は5分とした(室温:28.6 ± 0.7 ℃,湿度:66.4 ± 6.7 %)。測定項目は、脱水率、心拍数、直腸温、皮膚温、主観的運動強度、尿比重およびストループテストの測定を行った。Water条件における運動後の尿比重は、Control条件と比較して有意な低値を示した。また、運動開始時におけるWater条件の直腸温は、Control条件と比較して有意な低値を示したことから、運動実施前の飲料摂取によって、脱水予防効果および運動前の身体冷却効果が認められた可能性が考えられた。心拍数、皮膚温および主観的運動強度は,条件間に有意な差はみられなかった。ストループテストの正答率および解答時間は、条件間に有意な差はみられなかった。運動実施前の飲料摂取が運動時の脱水予防に効果がみられたことから、運動指導やスポーツ現場において、運動実施前の飲料摂取行動の啓発が重要である可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和1年度の課題は、運動前飲料摂取の有無が運動時の脱水予防に及ぼす影響について明らかにすることであったが、パフォーマンスの検討についてはストループテストのみの検討であった。今後は、多角的にパフォーマンスやスキルの検討が必要であるものと考える。このことから、さらなる検討が必要なため、やや遅れているとの評価となった。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、脱水とパフォーマンスとの関係に着目した後に飲料摂取の効果を検討する。次の実験課題の計画を進めており、検討を行っていく予定である。研究によって得られた成果は、国内学会にて発表予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、多角的なパフォーマンスやスキルへの検討に時間を費やしていることが影響している。使用計画は、実験計画がやや遅れていることによる対象者への謝金費用および消耗品費に使用予定である。学会参加においては、国内学会に参加予定である。
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