運動前飲料摂取が運動時の脱水予防および運動パフォーマンスに及ぼす影響

2020 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K20098
• 研究機関: 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
• 研究代表者: 斎藤 辰哉 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学部, 契約研究員 (60758085)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: 脱水 / 運動 / パフォーマンス

研究実績の概要

暑熱環境下での運動は体温調節のための発汗に伴い脱水が引き起こされ、運動パフォーマンスの低下要因となる。これまでの実験では、運動前の冷たい飲料摂取の有無とストループテストについての検討であったが、高いパフォーマンスには、身体資質とスキルの両方が重要であり、スキルの一つにタイミング能力がある。飲料摂取がパフォーマンスに及ぼす影響について明らかにするためには、先に脱水とタイミング能力の関係性について検討する必要性が考えられ、研究計画を変更した。そこで、暑熱運動時の脱水がタイミング能力に及ぼす影響を明らかにすることを目的に実験を実施した。対象者は、健康な一般成人男性とし、運動課題は、トレッドミルを用いてランニングを実施した。運動プロトコルは、1ステージ15分とし、セット間に体重および一致タイミング課題の測定を行い、体重測定で体重当たりの脱水率が約3%となるまで運動課題を実施した。測定項目は、体重、心拍数、鼓膜温および一致タイミング課題とした。一致タイミング課題として、ボタン押しを設定した。新型コロナウイルス感染症の影響による中断があり、現在4名までの対象者の測定が終了している。

現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

体温の測定を行っているため同じ季節での測定を行う必要があるが、新型コロナウイルス感染症の影響による中断があり、現在までの進捗状況が遅れている。

今後の研究の推進方策

初めに令和2年度に進めていた実験について、検討を引き続き行っていく予定である。
これまでの実験結果にて、運動前の冷たい飲料摂取が運動時の深部体温および脱水予防に効果がみられている。飲料摂取と運動（持久性およびタイミング能力）パフォーマンスとの関係を検討予定であるが、すでに先行研究にて運動前の冷たい飲料摂取は持久性パフォーマンスに影響を及ぼすことが報告されている。飲料摂取について検討する際には、身体冷却だけでなく、摂取による脱水予防が持久性パフォーマンスに及ぼす影響についての検討も必要であると考えられる。そのため、中立温度の飲料に着目し、運動前または運動中に摂取した際の運動パフォーマンス変化について検討する。それぞれの摂取タイミング毎の運動パフォーマンスへの影響を明らかにできると推測しており、検討を行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、実験実施が遅れていることが影響している。使用計画は、実験計画が遅れていることによる対象者への謝金費用、解析用パソコンおよび消耗品費に使用予定である。学会参加においては、国内学会に参加予定である。