研究課題/領域番号 |
19K20101
|
研究機関 | 就実短期大学 |
研究代表者 |
松本 希 就実短期大学, 幼児教育学科, 准教授 (20609622)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 動脈硬化度 / 動脈スティフネス / 血圧 / 幼児 / 体力 / 生活習慣 |
研究実績の概要 |
<研究課題1>の幼児の生活習慣と循環機能の関連性と<研究課題2>発育発達と循環機能の縦断的検討を遂行するために、引き続き、幼児の体力測定及び動脈硬化度・血圧測定、保護者への生活習慣に関するアンケート調査を実施した。今年度は、112名の幼児(3・4・5歳児)の体力測定を行い、さらにこのうち、30名を対象に動脈硬化度と血圧の測定を行い、データを得ることができた。 一方で、昨年度から引き続き、新型コロナウイルス感染症の流行により、研究規模の縮小は余儀なくされている。加えて、本研究は新型コロナウイルス感染症流行前の2019年に研究を開始しており、社会全般的に国民の活動の自粛・縮小を求められた生活が続く中で、2019年度から今年度までの研究結果を単純に比較することを懸念している。新型コロナウイルス感染症の流行が幼児の生活習慣に大きく影響していることが想像され、それに伴い、体力や動脈硬化度、血圧に影響を及ぼしている可能性も否定できない。そのため、昨年度と同様に新型コロナウイルス感染症の流行2年目の様子を把握するために、新型コロナウイルス流行前と現在の体力や生活習慣の様子を比較した。その結果、現時点で保護者がアンケート調査により、造形遊びの増加や運動量を確保できていないと回答した子どもの体力テスト合計点は低値を示したが、新型コロナウイルス流行前と比較すると差は示されず、流行前と同様に体力が維持されていることがわかった。このことから、幼児の体力の二極化が進んでいくことが予測される。 以上のような結果にも配慮しながら、現在収集している幼児の体力測定や動脈硬化度・血圧測定の結果を、詳細に解析・検討を進めているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、幼児を対象としており、対面での体力測定や動脈硬化度の測定を行わなければならない。 一昨年と同様に、昨年度も新型コロナウイルス感染症の流行により、思うように研究調査協力の依頼をすることができなかった。特に昨年度は、保育施設でのクラスターが多く発生し、研究調査協力の依頼を行いにくい状況があった。 しかしながら、我々測定者側や保育施設側は、少しづつ感染症対策が定着しつつあり、新型コロナウイルス感染症流行下での測定にも慣れたために、継続して研究協力をしていただいている園では、一昨年まで縮小して実施していた体力測定を、新型コロナウイルス感染症流行前とほぼ同じ項目で実施することができた。それでも、当初の計画立案時とは現在は、状況が大きく異なっており、全体的な実施計画には、遅れが出ている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられ、今後は保育現場への研究調査依頼がしやすくなると考えている。 <研究課題1・2>の「幼児の生活習慣と循環機能の関連性」及び、「発育発達のと循環機能の縦断的検討」を明らかにするために、今年度も幼児の体力測定及び動脈硬化度測定、保護者への子どもの生活習慣に関するアンケート調査は継続しつつ、今まで収集してきたこれらのデータを横断的及び縦断的に解析・検討し、学会等で発表し、論文にまとめる予定である。 <研究課題3>の「幼児への運動介入が循環機能に及ぼす影響」については、今年度中に幼児を対象とした運動教室を計画・実施する。対象者に、園や家庭でも実施可能な運動遊びを体験してもらい、それらの実施が成人と同様に血圧や動脈硬化度に影響を及ぼすかを調査する予定である。当初、2年間の実施を計画したいたが、新型コロナウイルス感染症の保育現場での流行により、昨年度まで実施することが叶わなかった。そのため、単年度の実施となるが、可能な限り、多くの対象者を募りたいと考えている。 これらの研究課題の実施により、幼児の循環器指標の基礎データを構築し、幼児期からの生活習慣病予防の具体的な方策を示したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行により、保育所やこども園での測定を縮小して実施したために、園までの旅費を使用しなかった。加えて、測定者の人数を減らして実施したため、測定アルバイトの雇用をしなかったので、人件費を使用しなかった。 次年度は、研究期間の延長により、経年劣化した研究で使用している機材の買い替えを行い、研究データの解析及び適切な管理を行う予定である。また、次年度は運動介入調査の実施を予定しているために、その準備・実施に必要なアルバイトの雇用と物品の購入を予定している。研究の最終年度になるため、学会への参加及び論文などの執筆を行い、研究の成果を公表する予定である。
|