研究課題/領域番号 |
19K20105
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター |
研究代表者 |
大島 浩幸 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第三部生活技術開発セクター, 副主任研究員 (20751126)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 知覚運動協応 / 知覚運動学習 / 感覚運動変換 / 感覚入力 / 深部感覚 / リハビリテーション / バーチャルリアリティ / 機械的振動刺激 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,腱振動刺激により生じる運動錯覚の自在な制御を可能にするために,振動刺激と運動錯覚の関係を体系化することである.本研究では,とりわけ腱に加振機の機械的振動刺激を伝達する接触子の大きさに着目する.人間は現実に運動しなくても,腱に振動刺激を与えることで,運動主体として一人称的に運動した感覚を知覚することが知られている.運動学習時に,この一人称的な運動感覚を手がかりにすることで,運動の結果から原因を推測する従来の試行錯誤的な学習手法から脱却できる可能性がある.現状では,腱振動刺激に対する運動錯覚の知覚特性が十分に解明されていないため,実用的な運動感覚提示手法の確立に至っていない. 本年度は昨年度に確立した実験系を用いて,接触子が身体に接触する面積の大きさの違いが,運動錯覚の質と量,つまり鮮明さと角度変化の大きさにどのように影響するかを検討した.健常成人5名に,周波数100Hz,加速度120m/s^2で上腕二頭筋腱に振動刺激を提示した.接触子は以下の4条件であり,痛みを生じない最小径のφ5mm、上腕二頭筋腱の実寸に近いφ10mm,実寸より一回り大きいφ15mm、実寸の倍に近いφ20mmであった.刺激提示後に,Visual Analog Scaleを用いて,運動錯覚の鮮明さと角度変化の大きさを5段階で評価するよう求めた.その結果,全実験参加者で,接触面積が大きいほど錯覚の鮮明さおよび角度変化が増すことが確認された. 以上から,振動刺激提示部の接触面積と運動錯覚の質と量は関連することが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画の通りの進捗の中で,仮説の妥当性を確認することができたことから,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
計画の通りに,腱振動刺激に対して肢位の違いと接触子の大きさの違いの組み合わせが,運動錯覚の各種パラメータに与える影響を明らかにする.これらの研究成果を国内外の学会等で積極的に発表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
参加した国際会議が新型コロナ感染症の影響でオンライン開催になったため,旅費の支出が不要になったことと参加費が半額に変更になったことから,次年度使用額が生じた.こちらは,予算の都合で買い控えていた実験系の充実のための費用に充填する.
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