| 研究課題/領域番号 |
19K20112
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| 研究機関 | 広島女学院大学 |
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研究代表者 |
砂野 唯 広島女学院大学, 人間生活学部, 講師 (20748131)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 酒 / 発酵食品 / 食文化 / エチオピア / ネパール / 清酒 / 健康 |
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| 研究実績の概要 |
本研究はネパールとエチオピアに暮らす酒を主食とする食習慣を持つ人びととその周辺の酒を嗜好品として消費する人びとを比較し、前者のみが健康を保っている要因を解明することを目的としている。しかし、新型コロナ感染症の流行によって、エチオピアとネパールへの渡航が困難となった。そこで、2020年度は清酒や濁酒の生産地を調査対象とした。日本人はモンゴロイドでアルコール耐性は低く飲酒量は少ないが、酒を地縁・血縁固め、神との共食、社会関係構築のツール、薬、予防薬、リラックス効果をもたらすもの、和食を構成する一要素として用いてきた歴史がある。とくに新潟は、酒蔵の数や清酒の消費量が多く、昔から社会や文化に組み込まれた飲酒文化が育まれてきた。現在、新潟で造られている濁酒と清酒の二種類を対象に、国内飲酒量が減少するなかで、これらの位置づけがどのように変化しつつあるのかを分析した。
また、これまでの現地調査で蓄積したデータを使い、酒の材料、道具、醸造方法、発酵に作用する菌類の種類から、ネパール中央部で飲まれている酒を分類した。その結果、すべての酒の材料や、酒や道具の名称は異なるが、醸造方法も作用する主な菌類も同じであることが判明した。そして、これらの酒が食とされるか、嗜好品とされるかは、酒そのものの栄養価や風味ではなく、人びとの置かれる生態環境や信仰する宗教、価値観、生活様式が影響していると考えられた。現在、これらの分析結果を論文にまとめている。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度から、新型コロナ感染症の流行により海外調査が不可能となったため、主な調査地であるエチオピアとネパールでの現地調査が実施できていない。また、調査対象地は、オンラインツールや電話、手紙を使った情報のやり取りが不可能である。現在、渡航せずに実施できる研究項目と方法について、研究協力者に相談中であるが、実施段階には至っていない。そのため、新規データが蓄積されず、既存データの更新が行えていない。結果、研究の進捗状況は当初予定していたよりやや遅れている。
しかし、伝統的な飲酒や健康への影響に関する国内調査については順調であり、当初予定していた海外調査地と比較するのに、有効なデータが揃い始めている。そのため、国内調査を続ければ、日本とアジア、アフリカの酒食文化を比較するという新たな視点で研究課題を解析しなおすことが可能だと考えられる。
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| 今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症の流行によって渡航できない状況のなか、海外フィールドのデータを集めるためには、オンラインシステムや研究協力者の協力を得ながら海外調査を実施しなければならない。現在、酒を食べる文化圏から都市に移住した人びとを対象としたオンライン調査を計画している。
また、これまでの調査で過去に日本で酒を栄養源としてことが判明した東北・北陸・沖縄において、かつて酒が食事であった環境・社会・文化的な要因についての聞き取りを実施する予定である。さらに、これらの地域で嗜好品とされる酒の飲まれ方を把握することで、酒が食事とされるか嗜好品とされるかの境界線はどこにあるのか考察することも考えている。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの流行によって海外調査が不可能となった。そのため、当初予定していた海外調査費用（渡航費、宿泊費、移動費）や人件費（現地での謝金）、現地でのデータ解析にかかる費用、図書購入費が使用できなかった。本研究の費用は海外での調査にかかるものが大半であったため、コロナが流行した年度の消化予算は少額となった。現在、渡航せずに実施するオンライン調査方法の確立や国内調査の方向性が定まりつつある。また、英語論文も執筆予定である。前年度までの余剰はこれらの調査と成果公開のために使用する予定である。
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