研究課題/領域番号 |
19K20114
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
萬成 誉世 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (90805128)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 食環境 / 幼少期 / 高脂肪低糖質食 / 不安様行動 / HPA axis |
研究実績の概要 |
飽食の時代である現代において、「何をどれだけ食べるのか」という問いは、我々にとって非常に重要な課題である。幼少期における“食”は、身体の発達や味覚の形成、食習慣の獲得等に重要であるが、脳の発達や心の形成にも非常に重要な役割を担っていると考えられる。そこで、本研究では、幼少期における“高脂質低糖質食”の摂取が生育後の行動や中枢神経系に及ぼす影響について、分子レベルから行動レベルまで生物階層性の段階を追って研究を行う。今年度は、 離乳後から3週間の期間、高脂肪低糖質食餌を与えたマウスを作製し、出生後から体重および摂食量を測定した結果、高脂肪低糖質食餌負荷マウス(HFLC群)では、有意に摂食量が増え、雌雄とも体重増加が認められた。6週齢以降、通常飼料に切り替えたあとは、徐々に体重増加率も緩やかになり、9週齢において、雌雄とも有意な差は認められなかった。しかし、雄マウスにおいて、7週齢以降、飼料効率に有意な差が認められ、摂食行動や代謝異常が認められる可能性が示唆された。また、11週齢において、血漿コルチコステロン濃度を測定した結果、雄マウスでは、Basal値がやや高い傾向にあった。また、高脂肪低糖質食餌負荷マウスを用いて、不安様行動および鬱様行動等について、行動試験の検討を行っている。本研究の遂行により、幼少期における“高脂質低糖質食”の摂取が生育後の性格特性や精神疾患発症に影響を及ぼす分子基盤の解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年5月~8月の期間、出産に伴う休暇を取得しし、研究を中断したため、当初予定していた実験計画よりも実施がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
高脂肪低糖質食餌負荷マウスを用いて、不安様行動および鬱様行動等の行動試験について、検討を進める。さらに、これらの結果を踏まえて、行動試験後に脳組織をサンプリングし、視床下部室傍核のcorticotropin-releasing hormoneや弓状核のレプチン受容体等について発現の増減をリアルタイムPCRやウエスタンブロットを用いて調べる。 さらに、今年度の結果より、血漿コルチコステロンの基底値が上昇傾向にあったことより、さらに拘束ストレス等を負荷し、その後の行動について評価を行うことを検討している
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元5月~8月の期間、産休を取得し、一時研究を中断することとなったため、当初の計画していた計画していた実験を次年度に繰り越したため、使用予定であった予算も繰り越すこととした。研究を一時中断したことにより、当初の計画よりも半期ずつ研究がずれ込むことを想定し、期間の延長を申請したため、翌年度以降の予算もその計画に合わせて修正を申請時に行った。
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