研究課題/領域番号 |
19K20120
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
丸田 ひとみ 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (30823231)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ビフィズス菌 / 肥満 / 酢酸 |
研究実績の概要 |
世界の肥満及び2型糖尿病患者数は年々増加しおり、2019年には世界での糖尿病有病者数は4億6300万人に上ったことが、国際糖尿病連合より報告された。さらに、2045年までには7億人に増加することが予測されている。近年、肥満の原因の一つとして腸内細菌の関与が示唆されており、プロバイオティクスを用いた肥満予防に注目が集まっている。ビフィズス菌は腸内細菌の一つであるが、最終生産物として乳酸のほかに酢酸を生成することが特徴である。酢酸はこれまで様々な肥満抑制効果が報告されており、本研究ではこの酢酸に着目をした。先行研究では新たにヒト糞便より単離したビフィズス菌株の中から酢酸生成能の高く、乳中での生育性と生存性の高いビフィズス菌株を選抜し肥満抑制効果の可能性のある菌株のスクリーニングを行った。その結果、肥満抑制効果の可能性を持った新規ビフィズス菌株が見いだされた。本研究の目標は、この新規ビフィズス菌株の肥満抑制効果とその機序について明らかにすることとした。 2019年度では、スクリーニングされたビフィズス菌株のプライマーの設計、またビフィズス菌試料の調整方法の検討を行った。スクリーニング時には乳中でビフィズス菌を発酵させた発酵試料を用いたが、偏性嫌気性細菌であるビフィズス菌の発酵試料を安定して作成するのが困難だった。また、凍結解凍時も生菌数の減少が多かったことから、安定した試料調整方法の確立が必要である。まず、ビフィズス菌試料調整の簡便さと、凍結解凍時の菌数の減少が少ない調整方法について検討を行い乳中に種菌を懸濁する方法を選択した。次に検討した調整方法で実際に動物に投与したときにスクリーニング時と同様に肥満抑制効果が得られるかについて動物実験を行った。その結果、今回選択した調整方法でも体重抑制効果などの肥満抑制効果が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019度では、プライマーの設計とビフィズス菌試料の調整方法の検討を目標としており、動物実験等を通じておおむね達成された。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の研究結果で得たビフィズス菌試料の調整方法を用いて、今後の研究を進める予定である。2020年度は動物実験を通じでビフィズス菌の有効菌数の検討を行い、体重変化だけでなく血液生化学検査や遺伝子発現についても確認を行う予定である。有効菌数は実際に市販されているヨーグルトの必要含有菌数なども参考に検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ビフィズス菌試料の調整方法を当初はスターター専門メーカーへの外部委託も検討していたが、委託しない方法で調整が可能になったため、その分の支出がなくなった。また実験試薬などの価格と実際の購入価格に違いが生じたため残金が生じた。本年度は抗体や遺伝子解析に必要な試薬の購入に充てる予定である。
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