研究課題/領域番号 |
19K20130
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研究機関 | 藍野大学 |
研究代表者 |
本田 寛人 藍野大学, 医療保健学部, 講師 (00803131)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 運動療法 / 糖尿病 / 高血糖 / 階段昇降 / 持続血糖モニタリング / 自覚的運動強度 / 骨格筋 / インスリン |
研究実績の概要 |
本年度は,まず,2型糖尿病患者における短時間の階段昇降運動による血糖降下作用についての解析および論文化を進めた. 対象は,糖尿病合併症がない男性2型糖尿病患者7名で,階段昇降運動の実施日(運動日)と非実施日(安静日)を設け,それらの24時間血糖値を比較した.運動日,安静日ともに経口血糖降下剤の服用は継続し,食事は3食とも糖尿病食(1,570 kcal/day)とした.階段昇降運動は,各対象者の自宅の階段を用いて行い,1階から2階まで(13~15段)を8~10往復する3分間の運動を1セットとし,毎食後60分と120分に2セットずつ実施するよう指示した.昇段速度は80~110 step/min,降段速度は自由とし,自覚的運動強度はBorg指数で11~13レベルを目標とした.血糖測定は,持続血糖モニタリングシステムを用いて朝食開始時から24時間連続で行った. その結果,各食前の空腹時血糖値は両日で差がなかったが,運動日の24時間平均血糖値および24時間血糖曲線下面積(area under the curve:AUC)は安静日に比して低値を示した(どちらもP<0.01).また,運動日の高血糖暴露時間(血糖値180 mg/dL以上の総時間数)は安静日に比して52%短縮した(P<0.05). 以上より,2型糖尿病患者において,毎食後60分と120分に3分間の階段昇降運動を2セットずつ行うことで,24時間にわたる血糖コントロールの改善が得られる可能性が示された.この成果の論文化を進めながら,2型糖尿病患者を対象として,短時間の階段昇降運動を長期的(6か月)に行うことにより,血糖コントロールを効果的に改善させるプログラムの開発に着手した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示したように,2型糖尿病患者における階段昇降運動による血糖降下作用について,急性的観点から実証し,また,長期的観点の検証に着手できていることによる.長期的効果の検証については,研究協力施設と連携し,データ収集準備を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
2型糖尿病患者における階段昇降運動の長期的な血糖コントロール改善効果について,血液生化学検査,体組成計および筋力測定器などを用いて詳細に検証する.ただし,新型コロナウイルス感染症の影響で,データ収集および解析が遅れる可能性がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により,研究協力施設への旅費や物品輸送代,参加・発表予定であった学術大会への旅費が不要となったため,次年度使用額が生じた. 2020年度は,2型糖尿患者を対象とした階段昇降運動による長期的な血糖コントロールの改善効果を検証する予定である.助成金は,これらの研究の実施(血糖測定消耗品,運動資料用紙,物品輸送,研究打ち合わせ旅費)および研究成果公表(投稿料,オープンアクセス料)等に使用する予定である.
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