研究課題/領域番号 |
19K20150
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
章 ぶん 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (80736760)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 栄養疫学 |
研究実績の概要 |
2021年度、福島県内の避難区域の1自治体の特定健診受診者を対象とし、血清鉄(fe)、血清マグネシウム(mg)の情報を収集した。その情報と2021年度の特定健診データを用い、血清feと血清mgレベルと生活習慣病の有病リスクの関連を検討しました。 研究対象:2021年度特定健診を参加した避難区域住民1,496人である。 研究方法:特定健診における高血圧、糖尿病、脂質異常、腎機能異常、肝機能異常の判定で、有病ありを有病なしと分類した。血清mgと血清feレベルを四分位して、生活習慣病有病リスクとの関連を比較した.また、血清mgと血清feの最小群低値群に対しる高値群の各生活習慣病有病リスクを、多変量調整ロジステックモデルを用いて算出した.共変量は年齢、性別、喫煙、飲酒、運動習慣、肥満度とした。 結果:研究対象全体において均血清mg値は2.082mEq/L、血清fe平均値は109.68mEq/Lである。住民の内、高血圧は706人、腎機能異常が124人、糖尿病または糖尿病の疑いが267人、脂質異常が709人、肝機能異常が183人であった。 血清マグネシウムの低値群(中央値2.0mEq/L))に対して、高値群(中央値2.3mEq/L)の糖尿病または糖尿病の疑いのリスクは0.37 (95%CI: 0.23-0.59) と、有意な負の関連が見られた。また、血清鉄の低値群(中央値73.5mEq/L))に対して、高値群(中央値146mEq/L)の高血圧の有病リスクは0.67 (95%CI, 0.46-0.98);腎臓疾患の有病リスクは0.41 (95%CI, 0.21-0.80),;糖尿病または糖尿病の疑いのリスクは0.47 (95%CI: 0.29-0.75)、有意な負の関連が見られた。結論:震災後、中高年の避難住民において、血清mgと血清feの高値は2年後の生活習慣病の予防につながる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむねに予想通りである
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今後の研究の推進方策 |
2023年度引き続き福島県内の避難区域13市町村の1自治体(楢葉町)の特定健診受診者のバイオマーカー検査(血清鉄、血清マグネシウム)データを用い、住民の栄養状況を評価し 、糖尿病の有病リスクとの関連を縦断的に検討する予定となる。 解析方法:楢葉町の特定健診受診者の2019年度の血清鉄、血清マグネシウム値と血清鉄値を四分位して、2023年度の特定健診の結果と統合、糖尿病有病リスクとの関連を分析する;糖尿病に対して、自己報告による‘正常’と‘境界’と‘有病’を分けた。血清マグネシウムと血清鉄の最小群低値群に対しる高値群の糖尿病有病リスクを、多変量調整ロジステックモデルを用いて算出する;共変量:性別、年齢(<=49, 50-64,>=65 ,BMI(<25, >=25)、喫煙(習慣的喫煙あり、習慣的喫煙なし)、飲酒(毎日、ときどき、ほとんど飲まない、まったく飲まない)、運動(30分以上の運動習慣あり、30分以上の運動習慣なし)となった。
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次年度使用額が生じた理由 |
福島県内の避難区域の中1の自治体であるA町の住民の2022年度に測定した血清マグネシウムと血清鉄のデータ収集にかかわる費用
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