研究課題/領域番号 |
19K20154
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
岡田 玄也 県立広島大学, 地域創生学部, 助教 (40778768)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 腸内細菌叢 / 周術期栄養 |
研究実績の概要 |
上部消化管癌手術による侵襲と消化管の形態変化は、患者の術後栄養状態を急激に悪化させる。中でも申請者は、食道癌患者では術前の段階で体重減少が生じており、術後1年間では体重の改善は認められないこと、さらに術後1カ月目の経口摂取量が新規の予後因子であることを明らかにした。これらの結果は、経管・静脈栄養法等による単なる栄養量の充足のみでは上部消化管癌手術後の低栄養状態や予後を良好に保つことは困難であることを意味している。そこで本研究では、上部消化管(胃)癌患者を対象に、術後経口摂取量と栄養状態・予後の改善に寄与する因子の探索を目的に調査を開始した。調査項目は患者背景、食事摂取量(①術前及び術後3・6ヶ月目、②入院期間中の栄養摂取状況(経口・経腸・経静脈)、体組成分析、血液生化学検査データとした。これらのデータより,術後経口摂取の回復時期及び栄養状態改善時期との関連を評価する。 令和2年度は、介入研究により術前の栄養付加療法やシンバイオティクス療法の効果を評価し、術前術後の積極的な栄養療法が周術期の栄養状態を改善させるかについて評価することを目的としていた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により,被験者登録及び研究プロプロトコールの遂行に支障が生じており、令和元年度より実施している半年間の追跡調査が完遂できていない状況である。このような状況を鑑み、当初の研究計画から遅れが生じていると考える。追跡調査が完了次第、データ解析を行い次年度以降に行う実験の基礎資料を得る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度は、令和元年度に完遂できなかった観察研究の遂行を目的を目的としていた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により,被験者登録及び研究プロプロトコールの遂行に支障が生じており、令和元年度より実施している半年間の追跡調査が完遂できていない状況である。このような状況を鑑み、当初の研究計画から遅れが生じていると考える。一方で,研究実施機関での研究環境は徐々に改善されており,今後は安定した被験者登録及びプロトコールの遂行が見込める状況である。
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今後の研究の推進方策 |
比較的短期でデータの集積及び解析が可能な術前状態に焦点を当て,胃癌患者における種々の栄養評価指標や摂食行動と腸内細菌叢等の関連を優先的に評価していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症による影響により,協力研究機関との往来及び学会参加等が制限されたため,次年度使用額が生じている。翌年度分として請求した助成金と合わせて,協力研究機関との往来及び実験試薬等の物品費用に充てる予定である。
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