研究課題/領域番号 |
19K20158
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
沢田 秀司 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教 (30814892)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 運動 / 血中マーカー / 高齢者 / 老化 / マイクロRNA |
研究実績の概要 |
本研究課題では、運動が老化に及ぼす影響について、特に血中マイクロRNAの関連を明らかにすることを目指している。これまでに、地域在住の日本人中高齢男女を対象として、自体重筋力トレーニングを内容とする運動プログラムを12週間実施し、介入前後で筋量、筋力、身体機能の測定・評価を行った。測定項目の一つとして、生体電気インピーダンス法(BIA法)に基づく体成分分析も実施し、運動の中長期的な成果を反映する指標について、検討を行った。12週間の運動プログラムの成果として、上記の指標に対する成果が現れることが確認された。さらに、血中マイクロRNA解析を進めるための基礎検討として、介入前の血液成分の違いが運動プログラムの効果に及ぼす影響を分析した。得られた成果については、『Low pre-training serum albumin level might restrict the effect of low-load resistance training on muscle thickness』とのタイトルで国際学会にて発表を行い(International Conference on Frailty and Sarcopenia Research 2020)、『Serum albumin levels as a predictive biomarker for low-load resistance training programs’ effects on muscle thickness in the community-dwelling elderly Japanese population: interventional study result』とのタイトルで国際誌にて原著論文を公表した(BMC Geriatr. 2021 Aug 18;21(1):464)。この研究成果は、運動前の血液成分の違いが運動プログラムの効果に影響を及ぼすことを明らかにしたものであり、本研究課題で着目している運動が老化に及ぼす影響を検討する上でも重要な知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年(令和2年)以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応が求められるコロナ禍の状況が続き、対面による運動介入や血液検査の中止を余儀なくされ、追加検討を実施するとの計画は変更せざるを得ない状況であった。そうした中で、運動介入前の血液成分の違いが介入効果に影響を及ぼすことを明らかにし、2021年(令和3年)に国際誌にて論文を発表し、運動が老化に及ぼす影響を検討する上でも重要な知見を得ることができた。2022年(令和4年)以降はBIA法による体成分分析に着目し、運動プログラムの成果を反映する指標として位相角の有用性を検証してきた。そして、位相角の変化と関連する血中マイクロRNAを同定するための網羅的解析について、予備検討を進めることができた。進捗は遅れてしまっているが、引き続き研究を鋭意進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
運動プログラムの成果を反映するBIA法による体成分指標として、位相角に着目することが有用であることについて、検証を進めてきた。また、予備検討として、位相角の変化と関連する血中マイクロRNAプロファイルの分析も行ってきた。今後は、上記の解析結果に基づき、網羅的解析の本検討を進めるとともに、顕著に変動するマイクロRNAの定量解析やパスウェイ解析なども進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止を目的とする社会状況の変化が影響し、研究計画を予定通りに遂行することができなかったため。一方、今年度は予備検討を進めることができ、研究を進展させることはできた。次年度は、血中マーカーの探索的解析ならびに運動介入の実施に当たり、研究費を使用する予定である。
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