研究課題/領域番号 |
19K20159
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
池田 崇 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (80783381)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 分枝鎖アミノ酸 / 運動療法 / 併用療法 / 回復期リハビリテーション |
研究実績の概要 |
我々はすでに虚弱高齢者の効率的な筋力増強の手法として分枝鎖アミノ酸(BCAA)と運動療法の併用効果に関する成果を報告している。この報告を土台として、回復期リハ病院に入院する患者に広く適応し、機能回復に寄与し得るのか明らかにすることを目的にBCAAを併用した運動療法の効果の実現可能性について研究を進めている。方法は、リハビリテーションの実施直後に1日1回、BCAAもしくはデンプンのいずれか片方を1か月間摂取し、次の1か月間は残りの片方を摂取する無作為クロスオーバー比較試験を行い、筋力、筋量、身体機能に対する併用療法の効果を検討している。 2019年度に実施した研究実績として、主たる研究として回復期リハ病院に入院している整形外科患者を対象にBCAAを併用した介入の実施を2019年9月より開始し、現在も昭和大学藤が丘リハビリテーション病院に入院している患者を対象に参加を募集中である。 また、本研究のパイロット研究(人工関節)において、併用により下肢筋力の増強および筋量減少の予防の効果が得られ、その成果を2019年5月にWCPT congress 2019 Genevaにて発表し、2019年12月に論文がAsia-Pacific Journal of Clinical Nutrition 28巻4号に掲載された。 副研究として、回復期リハ病院に入院している脳卒中患者を対象に、BCAAを朝食時もしくは午後のリハ直後のいずれかに投与し、より効果的な摂取タイミングを明らかにすべく実施している。一般的にBCAAは、運動直後に摂取することが推奨されているが、食事の時間間隔やタンパク質の摂取量の偏りから朝食時の摂取の有効性も示唆されている。より有効な併用療法の方法の確立を目標として実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
採択後、主たる研究は計画通り2019年5月の倫理審査を受けたものの、事務局側のミスで7月に倫理審査の承認が得られていたにもかかわらず、8月半ばまで承認の通知がなされず対象者のリクルート開始が計画より2か月間遅延する結果となった。 現在、目標対象者数110例に対して、参加者数40例と計画上の55例に到達していない。参加者の取り込みを強化しており、2020年度末までに予定症例数に達する見込みとなっている。 一方、公表予定であった学会の開催がCOVID-19流行の影響で不透明となっており、成果発表を計画通りに行えない可能性が高い。このため、研究期間の延長申請を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
主たる研究(整形外科)は、2019年度末までに55例のリクルートを計画していたが、到達しなかったため参加者の取り込みを強化している。また、整形外科患者はクロスオーバーする前に退院する者も多く、計画通りにクロスオーバー比較試験として処理するほかに、データの前半部分をRCTとして解析することも検討している。 副研究(脳卒中)については、2020年5月に介入を終了する予定であり、6月に論文投稿、8月に学会発表登録を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は下記の3点による。 ①研究計画の進行に2か月程度の遅延があるため、介入に使用するアミノ酸およびプラセボの購入費用が繰り越しになっているため。②データの集計段階にまだないため、集計用のPCが未購入であること。③参加予定学会がCOVID-19により中止になったため、旅費・参加費の支出が次年度以降に繰り越しになったため。 使用計画としては、①初回購入分のアミノ酸が5月一杯で使用期限を迎えるため、予定分を追加購入する。②データ集計用のPCは2020年度上半期中に購入する。③学会発表の見通しが不透明なため、学会発表分については1年ずつ先送りして1年間の研究期間の延長申請を行う。
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