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2020 年度 実施状況報告書

肥満糖尿病で認められる脂肪組織肥大に対する銅濃度変化の寄与と機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K20182
研究機関鳥取大学

研究代表者

市原 克則  鳥取大学, 医学部, 助教 (50710711)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード肥満 / 糖尿病 / 銅
研究実績の概要

内臓脂肪が過剰に蓄積した内臓脂肪型肥満を呈する肥満糖尿病患者は増加しており、肥満糖尿病に対して筋萎縮を伴うことなく脂肪量を特異的に減少させ、耐糖能異常を改善する抗肥満・抗糖尿病薬の開発が期待されている。また、銅は微量元素の1つであり、ヒト糖尿病患者での血中銅濃度の上昇と、血中銅濃度と高血糖の指標であるHbA1cに正の相関が認められる。そのため、血中銅濃度は糖尿病の発症・進展に寄与している可能性があるが、肥満糖尿病病態における銅上昇の機序、および脂肪組織機能異常による体重増加と耐糖能悪化に対する銅低下の寄与は不明である。
これまでに、肥満モデルマウスに銅のキレート剤を投与した結果、投与後4-6週において、脂肪組織重量の顕著な減少にともなう体重の減少と、耐糖能の改善が認められていた。そこでそのメカニズムの解析のために糖・脂質代謝と体内の銅の制御のどちらの機能でも重要な組織である肝臓での遺伝子発現を評価したところ、銅のキレート剤により脂質代謝が亢進している可能性が示唆された。さらに、培養肝細胞においても、銅のキレート剤により脂質代謝の変化が認められた。一方、顕著に重量が低下した脂肪組織では、脂質代謝関連遺伝子に大きな変化は認められなかった。そのため、銅のキレート剤は脂肪組織ではなく肝臓に作用して、脂肪重量の減少と耐糖能の改善に寄与する可能性が示唆された。
今後は本結果を基に、さらなるメカニズムの解明と、新規の肥満・糖尿病治療薬の標的分子の同定を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

銅のキレート剤を肥満マウスに投与した結果、体重の減少と耐糖能の改善が認められた。その機序として、顕著に重量が低下した脂肪組織では、脂質代謝関連遺伝子に大きな変化は認められなかった一方、肝臓での脂質代謝の亢進を示唆するデータを得た。機序の解明に一定の進展が認められ、肥満・糖尿病の治療薬の開発に向けて、着実に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

肥満・糖尿病を抑制する銅のキレート剤の作用機序として、肝臓の脂質代謝を改善する可能性が示唆された。今後、銅のキレート剤が脂質代謝を制御する機序を解明する。

次年度使用額が生じた理由

本研究における本年度計画の一部を遂行し、おおむね当初の仮説通りの結果を得たが、当初の全体の計画の一部のみで論文投稿を進めている。そのため、全体の計画のうち一部を次年度に実施することとした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] MicroRNA-494-3p inhibits formation of fast oxidative muscle fibres by targeting E1A-binding protein p300 in human-induced pluripotent stem cells2021

    • 著者名/発表者名
      Iwasaki Hirotaka、Ichihara Yoshinori、Morino Katsutaro、Lemecha Mengistu、Sugawara Lucia、Sawano Tatsuya、Miake Junichiro、Sakurai Hidetoshi、Nishi Eiichiro、Maegawa Hiroshi、Imamura Takeshi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 11 ページ: 1161

    • DOI

      10.1038/s41598-020-80742-y

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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