研究課題/領域番号 |
19K20188
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
津嘉山 泉 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (30823249)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | シクロオキシゲナーゼー2 / ジオスゲニン / 慢性炎症予防 |
研究実績の概要 |
本研究では、生理活性脂質であるプロスタグランジン(PG)E2合成系に焦点をあて、植物ステロールジオスゲニンの食品機能性について、1)作用機序の解明、2)慢性炎症予防効果の解析、ならびに3)安全性の検証を目指している。 主要な慢性炎症誘導因子として知られるPGE2は、シクロオキシゲナーゼ(COX)-2とミクロソーム型PGE合成酵素(mPGES)-1によって産生される。これまでに私たちは、PGE2合成を抑制する機能性成分として、ヤマノイモに含まれるジオスゲニンを見出した。昨年度では、ジオスゲニンのグルココルチコイド受容体(GR)を介したCOX-2発現抑制効果を明らかにした。そこで本年度は、メチオニン・コリン欠損(MCD)食摂餌による非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)様モデルマウスを作製し、ジオスゲニンの慢性炎症予防効果を検証した。 mRNA発現解析より、COX-2は主としてマウス肝臓の非実質細胞に発現しており、MCD食投与によるCOX-2の発現上昇を確認した。また、免疫組織化学的解析から、MCD食投与により、COX-2の発現は、F4/80陽性マクロファージで上昇していた。さらに、MCD食投与マウスへジオスゲニンを腹腔内投与し、その効果を検討したところ、COX-2mRNAの発現抑制とF4/80陽性マクロファージにおけるCOX-2の発現抑制が認められた。加えて、MCD食投与で観察される肝細胞索の組織構造の乱れや浸潤性炎症細胞の増加といった病理組織学的所見が、ジオスゲニン投与によって改善していた。今後は、さらに詳細な組織解析により、ジオスゲニンの標的細胞とその作用について明らかにするとともに、安全性についても検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、炎症誘導性生理活性脂質合成系を標的として、植物ステロールジオスゲニンの新規機能性を科学的に明らかにすることを目指している。本年度は、慢性炎症モデルマウスを用いたin vivo評価について、生化学解析や病理組織解析により、ジオスゲニンの慢性炎症予防効果が明らかになったことから、おおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、本年度に継続し、慢性炎症モデルマウスを用いたジオスゲニンの抗炎症効果の検証を中心に行う。特に、免疫組織化学的な解析を行うことで、PGE2合成系酵素の発現細胞の同定とジオスゲニン投与による発現動態を詳細に解析する。また、ジオスゲニンの安全性についても検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品納入予定額の誤差により、次年度使用額が生じた。余剰分は、次年度の消耗品費ならびに研究成果報告のための論文投稿費や英文校正費として使用する予定である。
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