研究課題/領域番号 |
19K20190
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
雀部 沙絵 淑徳大学, 看護栄養学部, 准教授 (00614364)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 朝食欠食 / エネルギー摂取量 / 身体活動量 |
研究実績の概要 |
2021年度は、朝食喫食習慣のない者に対して朝食にエネルギー摂取を促す栄養指導を行い、実際に朝食摂取の頻度が増加するのか、1日の身体活動量、エネルギー摂取量に変化が見られるのかを検証するための介入研究を実施した。その結果、指導介入前後の朝食摂取頻度、朝食エネルギー摂取量、1日の身体活動量、1日のエネルギー摂取量の変化には個人差が見られることが明らかとなった。 週4日以上の朝食喫食習慣がないことを条件に20代の健康な対象者を公募し、21-23歳の女性4名から研究参加の同意を得た。昨年度の研究成果をもとに、朝食エネルギー摂取量が240 kcal、300 kcal、360 kcalに到達することを目指して朝食を午前7-8時の間に喫食してもらうよう4週間の継続指導を行った。最初の1週間は具体的な食事例を示すため、対象者に朝食を提供した。介入期間中の昼食、夕食、間食は自由摂取とし、入浴時以外は活動量計を常時装着してもらうこと以外は普段通りの生活を依頼した。 当初の研究計画よりも対象者数が少なかったためデータの統計解析は行わず単純集計のみを実施したが、対象者全員が非肥満であり、うち2名はBMI18.5 kg/m2未満のやせに該当した。介入前の朝食欠食日における1日のエネルギー摂取量平均値は1458 kcalで20代女性の推定エネルギー必要量を下回り、全員が週1-2回程度のみの間食習慣であると回答したことから、対象者の朝食欠食日は1日のエネルギー摂取量が不足している可能性が考えられた。また、対象者全員が日常的な間食摂取時刻は昼食後から夕食前であると回答し、習慣朝食欠食者の特徴として1日のエネルギーを午後に集中して摂取している可能性が考えられた。介入後の朝食摂取日の身体活動量、エネルギー摂取量を介入前と比較しても一貫した変化は認められず、朝食摂取の効果は個人により異なる可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は当初の計画よりも研究参加の同意を得られた対象者が少なかったため、データの統計解析を行うことができず予備的検討となった。全ての対象者において具体的にエネルギー摂取目標量を示した朝食摂取を促す栄養指導を受けたことにより朝食喫食頻度が増加傾向を認めたものの、介入後の朝食摂取頻度は対象者ごとに異なっていたため、朝食摂取の効果を検討するためにはサンプルサイズの見直しが必要であると考えられた。しかし、20代のうち週4日以上の朝食喫食習慣がないことというinclusion criteriaに見合った対象者の母数が少なく、研究参加は対象者の自由意志によるものとしたことから、今後大幅に対象者数を増やすことは研究代表者が一人で行う研究として実施困難であると考えられたため、研究計画を一部変更して再検討することとした。研究計画変更の必要性が生じたことに加えて、研究代表者の本研究活動のエフォートが一時的に低下した期間があり、現状ではやや進捗が遅れているが、2022年度には改善する見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、週4日以上の朝食喫食習慣がない対象者に対して、理想とされるエネルギー摂取量よりも少ない朝食摂取により、1日の身体活動量、エネルギー摂取量が増加するかどうかを検討するため、朝食を提供する介入研究を実施する。朝食にエネルギーを全く摂取していない朝食欠食者が当面目指すべき朝食エネルギー摂取量の下限値を検討するため、朝食にエネルギーを摂取しない日をネガティブコントロール、文献報告に基づく理想的な朝食エネルギー(1日のエネルギー必要量の20-35%)を摂取する日をポジティブコントロールとして、1日のエネルギー必要量の20%までの範囲で朝食を提供する介入試験を行い、その日の1日の身体活動量、エネルギー摂取量を調査する。各条件での介入期間は、エネルギー摂取量および身体活動量の日間差を考慮して休日を含む連続した7日間として実施する。また、2021年度の研究結果において習慣朝食欠食者のエネルギー摂取は午後に集中していたことから、当初は計画していなかった点であるが、間食を活用して午前中のエネルギー摂取量を増やすことにより1日のエネルギー摂取量不足が改善されるかどうかの検討を追加し、理想的な朝食エネルギー摂取量の一部を午前中の間食として分割摂取させた場合の1日の身体活動量、エネルギー摂取量についても検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、研究参加依頼によりrecruitできた対象者数が予定よりも少なかったため、試験朝食、郵送費、交通費、謝礼などの支出が予定より少なかった。また、参加・発表を予定していた国内外の栄養学関連学会の開催方法がWEB開催等となったことから、学会参加のための旅費が不要となった。また研究計画の見直しが必要になったため予定していた論文の執筆が遅れており、論文の英文校正のための予算を使用しなかった。以上の理由より、2021年度の使用額が予定額を下回った。 2022年度は、研究計画の見直しを行い、未使用額を使用した介入研究、国内外の栄養学関連学会での発表、論文執筆・投稿準備を進める予定である。当初の研究計画からの変更に伴い、試料分析のための消耗品購入を予定しているため、未使用額を充填する予定である。また感染防止に対する社会的規制の緩和状況に応じて、学会発表に必要な旅費を支出する予定である。
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