研究課題/領域番号 |
19K20191
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
棗 寿喜 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 特任助教 (90761841)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヒストン / 大腸がん / アセチル化 / メチル化 / ヒストン脱アセチル化酵素 / 炎症 |
研究実績の概要 |
大腸がんの発生過程において、エピジェネティクスによる遺伝子発現調節機構の重要性は広く認識されている。しかしながら、運動が大腸組織のエピジェネティックな遺伝子発現調節機構に影響を与え、その後の大腸がん抑制に貢献しているか否かを検証した研究はこれまでに見当たらない。運動が大腸組織のエピジェネティクスによる遺伝子発現調節機構を介して大腸がん発症の抑制に寄与するという仮説をもとに、運動が大腸がんを抑制するメカニズムを、エピジェネティクスのひとつであるヒストン化学修飾に焦点を絞って研究を遂行する。当該年度では、運動が大腸がんを抑制する際に引き起こすヒストン化学修飾の部位と種類を明らかにする為にヒストン化学修飾レベルを網羅的に解析することを目的とした。雄性A/Jマウスを対照群、運動群、AOM/DSS群、AOM/DSS+運動群に無作為に振り分けた。大腸がんはアゾキシメタン (Azoxymethane; AOM)を腹腔内投与した後、デキストラン硫酸ナトリウム (Dextran Sulfate Sodium Salt; DSS)を溶かした飲料水を1週間経口投与することによって誘発した。運動はAOM投与後から回転ホイール付きのゲージを使用して、30週間にわたる自発走を実施させた。その結果、大腸がんの大きさはAOM/DSS+運動群においてAOM/DSS群よりも有意に抑制されており、運動介入による大腸がんの抑制効果を確認することができた。今後はサンプリングして得られた得られた大腸組織のサンプルを活用してマルチプレックスアッセイを行い、運動が導くヒストン化学修飾の種類と部位を網羅的に解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスから大腸組織のサンプリングは終了している。しかしながらヒストン修飾を網羅的に解析するマルチプレックスアッセイをおこなえていない。コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除された後に解析をおこなう予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策に変更は無い。今後はサンプリングして得られた得られた大腸組織のサンプルを活用してマルチプレックスアッセイを行い、運動が導くヒストン化学修飾の種類と部位を網羅的に解析する。その後、変化が認められたヒストン化学修飾が大腸がんに関連する遺伝子発現を調節しているか否かについて解析をおこなう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスによって研究が中断したため次年度使用額が生じた。従来の計画通り、解析に必要な試薬や抗体等の消耗品の購入費用に充てる予定である。
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