高齢者における不眠と睡眠不足は、精神疾患、生活習慣病といった二次障害の発生に繋がるため、その予防と改善は重要である。本研究では、高齢者の睡眠および生活に関する大規模疫学調査と、1カ月間の活動量計の装着から客観的な身体活動量と睡眠の関係を調べた。疫学調査の結果から、不眠症のリスク要因は症状によって異なり、またそれには性差があることが明らかとなった。特に女性においては、中等度の身体活動量が高いことが睡眠維持困難につながる可能性が示唆された。また、活動量計による調査では、不眠群に比して睡眠健常群の1日の歩数が高いことが示された。本研究結果から、不眠症の予防改善には、症状および性差を考慮すべきである。
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