研究課題/領域番号 |
19K20197
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研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 |
研究代表者 |
橋本 沙幸 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 講師 (90707530)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝炎 / 線維化 / SHRSP5/Dmcr / 降圧剤 |
研究実績の概要 |
NASHモデルラット (SHRSP5/Dmcr) に高脂肪・高コレステロール飼料 (HFC) を与えることにより、肝臓に線維化を発症させ、脂質コントロールを主体とした食事介入および降圧剤の投与を同時に行い、病理変化を観察した。具体的には、10週齢まで普通飼料 (SP) を与え、10~18週齢まではHFCに切り替え、肝線維化を発症させた。その後、食事介入としてSPに戻すと同時にバルサルタンおよびヒドララジンを投与し、26週齢で肝臓および血液サンプルを採取した。 肝臓は剖出後、病理標本を作成し、Hematoxylin-eosin (H.E) およびElastica Van Gieson (EVG) で染色した。そして、食事介入群と食事介入+バルサルタン投与群および食事介入+ヒドララジン投与群を比較し、肝脂肪化・小脂肪滴蓄積・大脂肪滴蓄積・炎症・バルーニングおよび線維化のスコアリングを行った。その結果、バルサルタン投与によって、小脂肪滴が減少しており、肝脂肪化のスコアは3群の中で最も低い結果となった。ヒドララジン投与では、食事介入のみに比べて大脂肪滴のスコアが有意に低値を示し、線維化のスコアは3群の中で最も低い結果となった。さらに、病理標本よりCD68の免疫染色を行い、バルサルタン投与では中心静脈域で発現が少なく、ヒドララジン投与では全体的に発現が少ないことを確認した。これまでの結果より、バルサルタンは脂肪滴減少に、ヒドララジンは線維化に有効であることが推察される。また、食事介入のみよりも、降圧剤投与を同時に行うことで、線維化の回復が促進される可能性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に実施を予定していた、組織学的所見のスコア化はすでに行った。また、研究施設の場所の変更に伴い、サンプルや実験機器の輸送を行い、次年度の実験に向けて準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
食事介入と降圧剤投与が線維化改善に及ぼす影響の機序を明らかにするため、ウエスタンブロット法により、線維化進展に関与する因子の発現量の分析を行う。さらに、肝臓内脂肪測定も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
機器の納品が遅れたため。
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