免疫チェックポイント阻害剤は、現在行われている肺がん治療の外科治療、薬物治療、放射線治療に続く、第4の治療方法として注目されており、治療方法の狭まる重篤な患者において使用が可能と、治療選択の幅が広がった。また、治療効果の高い治療方法として期待がもたれているが、、治療効果については奏功例の効果は高いが、無効例の割合は未だ高く、その原因解明までには至っておらず、治療効果を阻害する要因の解明は緊急の課題である。 そこで、本研究では、より多くの患者で効果のある治療として免疫チェックポイント治療が用いられるため、体内免疫との関わりや、悪性黒色腫瘍治療の抗腫瘍効果として腸管内のバクテロイデス属が依存することが報告されている腸内細菌に本研究では着目した。 同意が得られた初回治療より免疫チェックポイント阻害剤使用肺がん患者の治療開始前・治療経過中の便、また腸内細菌は食事内容が強く影響すると考えられるため治療前の食習慣について詳しく調査(BDHQ)した。さらに、生活習慣、体組成(InBodyS10)、BMI、握力、血液検査(栄養状態の指標等)等と、治療効果が関連するか調査を行った。 結果、対照群とした放射線治療患者の腸内細菌の多様性では治療開始前と比べ有意に多様性の減少が確認されたのに対し、免疫チェックポイント治療患者のうち、腫瘍の減少や維持された奏功群の腸内細菌の多様性では治療開始前後において減少せず多様性が維持されていることが確認出来た。また治療開始前に行った食事摂取頻度の調査より他のがん種において免疫チェックポイント治療の奏功との関連が示唆されているルミノコッカス科の割合が本研究においても奏功群において治療開始前の割合が高いことが確認された。
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