研究課題/領域番号 |
19K20207
|
研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
小西 可奈 東洋大学, 食環境科学部, 助教 (40822185)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 食行動 / 食欲 / 水溶性食物繊維 / イヌリン / 腸内細菌 / 短鎖脂肪酸 |
研究実績の概要 |
人(宿主)により摂取された食物繊維は、宿主の腸に共生する腸内細菌のエネルギー源として利用され、その産物として短鎖脂肪酸が腸内に産生される。腸内細菌によって産生された短鎖脂肪酸、さらに短鎖脂肪酸を介した摂食調節ホルモンの分泌変化は、ヒトの食欲に影響を与える可能性がある。これまでに、食物繊維の習慣的な摂取によって主観的な食欲やエネルギー摂取量、体重が変化することは報告されているが、肥満を惹起する食欲以外の食行動(食嗜好、食の規則性、摂食開始・停止の制御など)への影響や、それらの関連に介在しているメカニズムについては明らかとなっていない。そこで本研究の目的は、食物繊維の一種であるイヌリンの摂取が食行動・食欲にどのような影響を与えるかを検討することとした。その介在メカニズムとして腸内細菌に着目し、イヌリンの摂取による腸内細菌組成の変化についても検討した。 26名を対象に、イヌリン粉末を6週間摂取する介入研究を実施し、介入の前後で次に示す指標を評価した。イヌリンを摂取する群13名、プラセボを摂取する群13名とした。 (1)食に関連する視覚的注意バイアス:パソコンの画面上に出現する食事や食べ物の画像に対する反応性を評価するテストを行った。課題の正答率、反応時間、試行条件間の反応時間の差等を分析した。(2)習慣的な食行動(Three Factor Eating Questionnaire: TFEQ)、(3)イヌリンを単回摂取した際の呼気中水素濃度、メタン濃度、(4)摂食調節に関連するホルモン(レプチン、グレリン、ペプチドYY等)、(5)腸内細菌組成、(6)糞便中短鎖脂肪酸濃度、(7)体重及び体脂肪率、(8)習慣的な食事・栄養摂取状況(食事歴法質問票:BDHQ)等を評価した。 今後は腸内細菌及び短鎖脂肪酸濃度、摂食調節に関わるホルモンの分析とデータ解析を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験の実施、分析、データ解析を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況を考慮して実験を延期したため、2021年度中に取得した試料の分析及びデータ解析までを完了することができなかった。そのため、研究期間の延長を申請した。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度に採取した検体の分析及びデータ解析、論文作成を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で介入研究の実施が延期となり、腸内細菌及び短鎖脂肪酸濃度の分析や血中の摂食調節ホルモン分析に係る費用を一部執行できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度に分析費用として使用する。
|