研究課題/領域番号 |
19K20219
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
前原 貴憲 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, ユニットリーダー (20751407)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 離散最適化 / クエリ可能最適化 / 劣モジュラ関数 |
研究実績の概要 |
確率的なパラメタをもつ組合せ最適化問題において,各パラメタに問合せ(クエリ)することでその実現値が得られる,という設定のもとで高品質な解が得られるクエリの手順を求める問題をクエリ可能最適化とよぶ.クエリ可能最適化はごく最近現れた新しい最適化問題の枠組みであり,オンラインカップリングサービスや臓器移植など様々な実問題に対しての応用が期待されている.本研究では様々な実問題に対してクエリ可能最適化の手法が適用できるよう,理論・アルゴリズムを深化・拡張する. 2019年度には「劣モジュラ目的関数に対するクエリ可能最適化理論の確立」に成功した.劣モジュラ関数は離散最適化・機械学習・経済学など様々な分野で自然に出現する関数であり,クエリ可能最適化の文脈でも劣モジュラ関数最適化に帰着できる実問題が豊富に存在する.そのため劣モジュラ目的関数に対するクエリ可能最適化理論の確立は需要の高い課題であった.ところが,従来のクエリ可能最適化理論では目的関数は線型関数に限られていた.これは理論の構築に線型計画法とその双対問題を用いるためである.そのため,双対理論の存在しない劣モジュラ関数に対して従来の理論を素朴に拡張するのは困難であった. そこで申請者は線型計画法ではなく「局所探索法」に基づくクエリ可能最適化理論を構築した.局所探索法は適当な初期解から初め,繰り返し改善を行うことで最終的な解を得る手法であるが,この改善部分とクエリを関連付けることでアルゴリズムの理論評価を得ることに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究計画時には (1) 確率分布の一般化,(2) 目的関数の一般化,(3) 制約条件の一般化,という3つの課題をこの順で解決するつもりであったが,研究の過程により (2) を先に解決することに成功した.(2) は比較的難しいと考えていた課題なので,想定以上の進捗があったといえる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画時には (1) 確率分布の一般化,(2) 目的関数の一般化,(3) 制約条件の一般化,という3つの課題をこの順で解決するつもりであったが,研究の過程により (2) を先に解決することに成功した.そのため今後は (1), (3) の解決を目標とする. (1) は既に見通しが立っている課題であるが,素朴に得られる結果は学術的なインパクトが弱いため,どのように結果を強化するかを検討中である. (3) は (2) を解決することによって得られた知見を活用できると期待している.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画時には (1) 確率分布の一般化,(2) 目的関数の一般化,(3) 制約条件の一般化,という3つの課題をこの順で解決するつもりであったが,研究の過程により (2) を先に解決することに成功した.これに伴い,旅費の想定(出張先・期間)が当初の想定と変わってしまったため差額が生じた.
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