研究課題/領域番号 |
19K20225
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
八木 文香 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 助教 (40823547)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 成長曲線モデル / 単調欠測データ / 統計的仮説検定 |
研究実績の概要 |
得られたデータが単調欠測してしまっている場合の「成長曲線モデル」における統計的推定や仮説検定手法に関して (I)単調欠測データの下での成長曲線モデルにおけるパラメータの推定及び検定 に関する研究成果を得た.1標本問題の単調欠測データにおける平均パラメータと分散共分散行列について,それぞれが既知の場合の最尤推定量に関する理論をまとめ,それが学術雑誌に掲載された.また,分散共分散行列が既知の場合におけるAIC型モデル選択規準を導出し,テクニカルレポートとしてまとめた.課題(I)に関連して (II)単調欠測データにおける平均ベクトルの検定に対する新たな検定手法の提案 にも取り組んだ.特に,2-step単調欠測データを持つ1標本問題及び2標本問題における平均ベクトルに関する新たな検定統計量を導出し,カイ二乗近似を改良する変換統計量を導出した.この結果が学術雑誌に掲載された.これに関連して,2標本問題における簡便なT2乗型検定統計量に関する理論を補強しまとめた成果が,学術雑誌に掲載される予定となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で記載の課題(I)については計画通りの結果である.課題(II)については,2-step単調欠測データに焦点を当て,提案した検定統計量及び変換統計量の近似精度に関する理論をまとめ,査読付き学術雑誌に掲載された.最終目標は一般の単調欠測データにおける結果を得ることであるが,その途中段階の2-step単調欠測データに対する結果をまとめたものとなっている.また,査読に時間がかかっていた「2標本問題における簡便なT2乗型検定統計量」に関する論文については,成果をいくつか補強することにより,採択された.
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で記載の課題(I)における推定問題について,昨年度に引き続き,2標本問題及び多標本問題に拡張することを考えている.また,課題(II)に関して,1標本問題及び2標本問題における2-step単調欠測データに対する理論を一般のk-step単調欠測データの場合に拡張させ,モンテカルロ・シミュレーションにより近似精度の数値的評価を与え,それらをまとめる.さらに, 課題(III) 単調欠測データにおける分散共分散行列に関する検定 にも取り組む予定である.具体的には,1標本問題において,分散共分散行列Σの検定(特に,Σがある与えられた行列Σ_0と等しいかどうかの検定またはスフェリシティ検定)問題に取り組む.検定統計量を導出し,カイ二乗分布への近似精度を改良する検定統計量を提案する予定である.これに関連して,平均ベクトルと分散共分散行列の同時検定問題についても同様に議論する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で2020年度の学会等が中止またはオンラインでの開催に変更され,また研究打合せも延期になったため,次年度使用が生じた.シミュレーションなどに必要となるPCの購入費等に使用する予定である.
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