研究課題/領域番号 |
19K20226
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
土田 潤 東京理科大学, 工学部情報工学科, 助教 (40828365)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 因子分析 / 因子回転 / 正則化法 / 主成分分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,Thurston(1947) が定義した解釈容易性を定式化することである.解釈容易性を定式化することで,結果がわかりやすいデータ解析法の開発の一助となる.本研究で着目するデータ解析法は,次元縮約法であり,特に主成分分析と因子分析について着目する. 本年度では,Gini Index を用いて,解釈容易性の定式化について考察した.具体的にはミンコフスキーノルムを用いたGini Index(以下ミンコフスキーGini Index)を定式化し,その値が一定以上となる領域について検討した.さらに,ミンコフスキーGini Index に対するMajorizing functionの近似を導出し,因子分析における回転法を提案した.ミンコフスキーGini Indexを用いた回転法は既存の回転法であるVarimax回転を含むことを明らかにした.この成果を国内会議で発表した. さらに,ミンコフスキーGini Indexが含む,L1ノルムを用いたGini Indexを用いて,次元縮約法の一つである主成分分析を提案した.具体的には,L1ノルムを用いたGini Indexが一定上に制約した主成分分析を定式化し,Majorizing functionを用いた計算方法を導出した.数値実験の結果,既存法であるLASSOやSCAD,MC+を用いた方法に比べ,次元縮約に寄与しない変数を適切に縮小推定できる場合があった.ただし,常に良いわけでなく,使い分けが必要であった.この成果を国際会議にて発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度では,ミンコフスキーGini Indexを用いた主成分分析法を開発し,その性能を確認する予定であった.ミンコフスキーGini Indexの領域については考察し,因子分析の回転法を提案した.ミンコフスキーGini Indexはパラメータによって,Majorizing functionの導出が難しく,近似を行った.しかし,近似式が適当でない可能性があり,推定が安定しなかった.さらに,本年度で提案した主成分分析でも,パラメータ更新式の導出に近似を用いており,適切な更新式になっているかの確認が必要である.ミンコフスキーGini Indexのパラメータに依らない更新式を導出することができなければ,今後の研究がスムーズにいかない可能性がある.そのため,現在“やや遅れている”と考える.
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今後の研究の推進方策 |
まず,ミンコフスキーGini Indexを用いた主成分分析法を開発するために,ミンコフスキーGini Indexのパラメータに依らない更新式を導出し,主成分分析に適用する方法を考察する.さらに,Tucker3 modelをもとにミンコフスキーGini Indexを用いた次元縮約法に拡張する. 本年度で得られた成果をまとめ,論文作成を行う.因子回転法についてまとめ,すでに更新式が出ている,L1ノルムを用いたGini Indexを用いた主成分分析法についても論文化を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
Gini Indexに対する定式化について進捗が芳しくなく,国際会議の参加を見送った.必要な情報を国際会議以外から集めるために,書籍を購入したが,旅費との書籍代の差額が計上された.差額は,論文執筆における英文校正費と研究打ち合わせのための旅費にあてる予定である.
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