研究課題/領域番号 |
19K20254
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
金 勇 東京工業大学, 学術国際情報センター, 特任助教 (60725787)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | healthcare / Remote monitoring / Data sharing / Privacy preservation / Authentication |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、個人情報漏洩防止とプライバシー保護の対策として、データの暗号化を考慮した遠隔医療・遠隔ヘルスケアシステムを対象に、安全な遠隔監視とファイル共有の仕組みを構築・実現することである。本年度は、主に目的システムに基づいたプロトタイプを実装するためのローカルネットワーク環境を設計・構築し、目的の機能を実現するためのプラットフォームの設計と一部の機能確認を行った。具体的には、ヘルスケア機器(重量計、温度計、血圧計、カメラなど)の「使用履歴」を暗号化してリアルタイムに登録・更新するためのDNSシステムを設計し、DNSシステムへの登録、更新及び問合せログが効率的に取れるようなシステムを構築した。特にDNSシステムへの問合せや更新ログを効率的に取得、確認するためにDNSTAP機能を導入するなどの工夫を行った。次に、DNSシステム上に登録された「使用履歴」に応じて必要なファイル(写真やレポート等)を暗号化して保存するデータベースとそのファイルを遠隔からダウンロード及び削除可能なコンテイナーを動かす環境の設計を行った。特にセキュリティとプライバシーを重視し、必要な時に関連情報の問合せ及び関連ファイルのダウンロードが可能なコンテナー機能だけでなく、認証と暗号化に加えてダウンロードが終わった後に即座にコンテナーを削除するようなシステムの設計を行った。また、ネットワークセキュリティとプライバシー関連の国際会議や国内研究会に参加し、ヘルスケアとIoT関連の技術や動向を中心に情報収集を行い、関連研究の成果発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度計画していたローカル実験環境の構築は概ね完成しているが、予定していた関連実験はやや遅れている。 本研究の初年度の実施計画は主にプロトタイプシステムを実装するためのローカル実験環境の設計・構築を行うことと目的システムの実現性を確認するための関連実験を行うことである。そこで、まず2台の物理サーバに仮想マシン環境を構築し、DNSシステムを利用してヘルスケア機器の「使用履歴」を登録、問合せ及び更新可能なDNSシステムの設計・構築を行った。特に、DNSシステムに対するレコード登録、問合せ及び更新ログを効率的に管理するためにDNSTAP機能を導入し、様々なDNSログ(クライアントとリゾルバ間、リゾルバと権威サーバ間等)がとれることを確認した。また、ヘルスケア機器の「使用履歴」を暗号化した後にDNS TXTレコードとして登録し、DNS TSIG機能を使って認証を行った上で問合せと更新ができることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に構築したローカル実験環境に目的のシステムを構築し、主な機能確認を行う予定である。具体的には、仮想環境上に複数のホームネットワークを想定したローカルネットワークを構築し、各ホームネットワークに配置したヘルスケア機器の「使用履歴」をDNSシステムと連携して確認・更新する仕組みを構築する。また、ヘルスケア機器自体の「使用履歴」に加え、コンテナー技術を使って必要に応じて写真やファイルを暗号化して共有する仕組みを構築する。それから、認証されたユーザのみ遠隔でヘルスケア機器の「使用履歴」の照会や共有ファイルのダウロードが可能な機構を構築する。上記の目的システムの構築と関連実験を行った上で、国内研究会と国際会議にて研究成果の発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画した一部のヘルスケア機器と実験実施・管理用パソコンの調達に遅れが生じたため、該当物品購入を次年度に延期した。次年度使用額に関しては計画通りにヘルスケア関連機器と実験実施・管理用パソコンの購入を実施する予定である。
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