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2019 年度 実施状況報告書

Behavification: ユーザの注意をバイパスして行動に作用する情報基盤

研究課題

研究課題/領域番号 19K20260
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

大越 匡  慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任准教授 (00791120)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード通動・通感 / 情報提供基盤 / 限定合理性
研究実績の概要

本研究プロジェクトは、ユーザの限られた注意資源を保全しつつユーザの 行動を促進する全く新しい手法として、ユーザに”知らせ” (通”知”) ずに、行動により直接 作用する「通”動”」手法の実現性と有効性を明らかにする。 具体的には1年目は、 (1)ユーザが通動による行動操作を許可できる範囲の解明、および(2) 通動を実現するために必要な基盤技術のシステムアーキテクチャの解明に取り組んだ。
まず(1)に関連して、ユーザに対する情報提供とそれに基づく行動変容の既存の枠組みにおける限界をまず明らかにする上で、行動経済学の分野で提唱されている限定合理性の理論に着目し、特に3つの限界(視野の限界、合理性の限界、働きかけの限界)の分類に基づいてユーザの合理性状態に関する分類の整理を行った。その上で(2)に関して、情報アーキテクチャの要件整理を行った。上記で着目した人間の合理性状態の推定については、実時間での適応的動作を可能にする実時間性、生体センサなどユーザへの負担を強いる機器になるべく異存せずスマートデバイス等のセンサデータや各種ビッグデータを入力として用いる非侵襲性といった要件があげられた。ここまで情報基盤に関する研究の進捗を、情報処理学会ユビキタスコンピューティングシステム研究会への研究報告として投稿し、発表を行った。
また本基盤上で人の限定合理性状態を具体的に検知/推定し、通感・通動で介入を試みる1アプリケーション分野の研究として、食欲以外の感情等の状態に駆動されて行う食行動「エモーショナルイーティング」の推定を、スマート・ウェアラブル機器のセンサデータ等を行う研究を行った。日時・場所といったユーザの各種コンテキスト情報から同行動を推定する機械学習モデルの初期的な構築に成功した。本進捗も情報処理学会ユビキタスコンピューティングシステム研究会への研究報告として投稿し、発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本プロジェクトは、 課題1:調査と要件定義、課題2. 通動情報基盤の設計、課題3. 通動情報基盤の構築 の3課題から構成され、予定では1年目に課題1,2を終了し、課題3を開始することとなっている。2019年度末の時点で、課題1を通じた要件定義を終え、現在課題2である情報基盤の設計を行い、それに続いて課題3における同基盤の構築を行っている。

課題3は概ね予定通りに進捗してるが、当初の計画から若干の計画変更が生じている。当初の計画において利用する予定であったAugmented Realityデバイス(Microsoft HoloLens2)は、当初2019年度内(2019年秋頃)に出荷される予定であったが、出荷遅れにより2019年度内の調達ができなかった。したがって、現在スマートフォンプラットフォーム上のアプリケーションの形での構築を行うべく基盤設計を一部変更し、課題3を実施している。

今後の研究の推進方策

2020年度は、課題3通動情報基盤の構築、および課題4実証アプリケーションの構築を順次行っていく。またその後に課題5実証実験を行う。
(1)現在新型コロナウイルス感染の拡大が続いており終息の見通しが不透明なこと、(2)Augmented Realityデバイスの調達状況が以前不透明であること2点が、2020年度の研究進行に対する不透明性である。
前者に関しては、研究施設の閉鎖や外出自粛要請などの状況により屋外での実証実験ができない事態が想定される。後者に関しては前者にも関連しより一層の調達の遅れが生じる可能性もある。
以上を鑑み本研究では、(1)AR機器など少数しか確保出来ず、また評価時に実機の受け渡しが必要なるような機器をなるべく用いずに、(2)被験者となるユーザ自身が既に保持していることを想定できるスマートフォン・スマートウォッチなどの機器を用いて、(3)外出自粛中や研究施設の閉鎖中でも被験者各自がリモートで評価実験に参加できるようなアプリケーションを構築する方針で、研究を進めることにより、不透明性が高い状況において研究遂行を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由: 当初1年目に購入予定であった物品 (Microsoft HoloLens2)の発売・出荷が当初予定より遅れ、また同時に需給逼迫ため2019年度中に購入および納品をすることができなかったため

翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画: 購入予定であった上記製品は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け未だに機材確保の可能性が不透明であること、また総合的に新型コロナウイルスの感染拡大により国際会議への旅費支出や、当初計画していた実証実験(屋外)に関する実証実験に計画変更が必要な可能性がある。その場合、外出自粛中でも実験の各被験者が各自で実験を行えるために安価かつ数を多く確保できる機材の購入(スマートフォン、スマートウォッチ)等や、被験者への謝金を増額した使用を計画している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [学会発表] モバイルコンピューティングによるエモーショナル・イーティングの検知2020

    • 著者名/発表者名
      栄元優作
    • 学会等名
      情報処理学会第65回ユビキタスコンピューティングシステム研究会
  • [学会発表] Digital-Wellbeing powered by IT/AI Technologies2020

    • 著者名/発表者名
      Tadashi Okoshi
    • 学会等名
      4th International workshop on emotion awareness for pervasive computing with mobile and wearable devices
    • 招待講演
  • [学会発表] 人の限定合理性を超越した行動変容支援に向けた情報プラットフォームの設計2019

    • 著者名/発表者名
      大越匡
    • 学会等名
      情報処理学会第64回ユビキタスコンピューティングシステム研究会
  • [学会・シンポジウム開催] 4th Workshop on emotion awareness for pervasive computing with mobile and wearable devices2020

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公開日: 2021-01-27  

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