研究課題/領域番号 |
19K20261
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
森 慎太郎 福岡大学, 工学部, 助教 (90734913)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 情報指向ネットワーク / 無線センサネットワーク / ブロックチェーン |
研究実績の概要 |
令和4年度においては、現実的な環境での評価に先立つ研究室ベースでのテストベッド試作および基礎評価を行い、その結果も良好であったため、より本格的なプロトタイプ開発による実装評価を実施した。当該成果として、テストベッド試作および基礎評価の結果について、電子情報通信学会センサネットワークとモバイルインテリジェンス研究会において発表した。また、令和3年度に得られた成果に基づき、その内容を発展させた内容については論文誌(J. Advances in Networks and Services)に採録された。さらに、本研究課題全般に対する研究成果に関して、招待講演として、国際会議(IARIA Congress 2022)においてキーノート講演、電子情報通信学会の総合大会においてチュートリアル講演を行った。本研究開発では、単に技術的な新規性を探究してゆく段階にとどまらず、新しい研究分野の開拓に貢献している。その功績に対する評価として、令和3年度に信号処理学会に採録された論文が論文賞(Best paper award)に選出されただけでなく、これまで培ってきた情報指向無線センサネットワークに関する研究に対し谷萩隆嗣記念特別賞(信号処理学会)に選出された。とくに後者の表彰については、研究代表者・森の受賞は3人目であり、本研究開発が極めて高い評価を得ていることが分かる。今後の展開として、本研究開発で築き上げた情報指向無線センサネットワーク技術の実環境への展開・適用を目指した研究テーマはNICT/Beyond 5G研究開発促進事業に採択(令和4~6年度)、本開発技術によるIoTシステムのグリーン化を目指した研究課題は福岡大学/若手・女性研究基盤構築支援事業(令和5~6年度)に採択されるなど、本研究開発は後続する新たな研究課題の創出および発展に貢献している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開発の進捗に関しては当初の予定通りに進められている。研究開発計画においては、情報指向ネットワークを無線センサネットワークに適用させた情報指向無線センサネットワークに対し、ブロックチェーンに基づく新たなセキュアキャッシングフレームワークを開発することを目的としている。とくに研究開始当初においては確立していなかった当該分野について、情報指向無線センサネットワークと名称を設定し研究開発をすすめてきた。令和2~3年度はCOVID-19の影響により国際会議や国内学会の現地開催が中止される場面もあったが、先に計算機シミュレーションや室内環境でのテストベッド実装および基礎評価を実施していたため、令和4年度はそれらの結果に基づき研究活動を実施することができた。また、本研究課題から派生するスマートシティへの応用に関する研究プロジェクトにおいて、本研究で実装したテストベッドデバイスを改良することにより、実環境での実証実験に向けた基礎評価につなげることができた。とくに、本研究課題で描いていた地対空統合型情報指向無線センサネットワークの構築に向けたテスト環境の構築に向けて進んだことにより、本研究開発の提案手法の評価を実際に行うための環境構築ができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究開発において、ハードウェア実験を通じた実装に係る問題点の洗い出しと解決を試みた結果、それらの成果に基づき実際のスマートシティでの応用に向けた足がかりを得ることができた。とくに、現実的な環境での評価という点において、令和4年度において改良することにより可搬型デバイスとして実用に耐えられる設計として実装している。本テストベッド開発については本研究課題の主たる成果物であると考えており、令和5年度においては、継続する研究課題や関連する研究プロジェクトに対しても適用可能であるか検討する必要がある。また、実際のスマートシティにおける実フィールドにおいてテストネットワークを構築した実証評価、および本研究開発の手法を用いることにより副次的に得られるシステムのグリーン化に関しても継続的に研究をすすめるつもりである。併せて、本研究課題で開拓した情報指向無線センサネットワークと本研究成果を幅広く認識してもらうために、論文発表等を通じて幅広く知見を公開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度に繰越しが生じた理由は、令和2~3年度にCOVID-19の感染症拡大の影響により国際会議や国内研究会がオンライン開催となったためである。その費用を使用して、令和4年度において、テストベッドの開発に予算を割当て開発システムの実々装による評価を行う費用として支出してきた。令和5年度は、本研究開発を通じて得られた成果を報告するための費用に割り当てるとともに、後続する研究に対して応用可能性を評価するために必要な計算機シミュレーション環境の構築に使用する予定である。
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