研究課題/領域番号 |
19K20264
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
松園 和久 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワークシステム研究所ネットワーク基盤研究室, 研究員 (90751074)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ICN / CCN / IoT / Mobility |
研究実績の概要 |
本研究では、今後更なる発展が見込まれるIoTのモビリティ通信に着目し、情報指向ネットワーク技術(ICN/CCN)を応用することで、データ送信ノード及び受信ノード双方のモビリティ通信の高信頼化と効率化を実現可能な通信技術の検討を行った。 本格的なIoT (Internet of Things)社会の到来により、多様かつ大量のデータが自動的にネットワーク上で配信され、利活用されるようになる。情報発信ノードが移動しながら実時間ストリームデータを配信する際、通信劣化や断絶によりシームレスにデータを送信できない可能性がある。また、従来のクラウド技術では、一旦データをサーバへ送信し蓄積させることで、オンデマンド方式によりその情報を取得したい受信ノードへ配信する。しかしこの方式では、リアルタイム性が著しく損なわれると同時に、通信がサーバへ集中するため効率的ではない。本研究の目的は、ICN/CCN技術を応用することで、データ送信ノード及び受信ノード双方のモビリティ通信の高信頼化と効率化を実現可能な通信技術を開発することである。今年度は、ネットワーク内キャッシュと符号化技術を用いて、受信者(コンシューマ)モビリティの設計と検証を中心的に行った。ハンドオーバ時のデータ損失のみならず、フェージングや輻輳に伴うデータ損失を迅速に復元する方式の検証および評価を行った。評価環境には、オープンワイヤレステストベット(R2Lab)を用い、実ワイヤレスネットワークとシミュレータ上のネットワークを連携させ、より現実的な検証および評価環境を構築した。提案方式と評価結果をまとめた論文を作成し、国際会議IEEE CCNCに採録された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
情報指向ネットワーク技術(ICN/CCN)を応用し、高信頼化と効率化をおこなえるIoTのモビリティ通信技術を開発するにあたり、より現実的な検証および評価が行える環境が必要である。そのため、オープンワイヤレステストベッド(R2Lab)およびICN/CCN通信を実現するオープンソースソフトウェアCeforeを用いて、実ワイヤレスネットワークを柔軟に用いることが可能なICN/CCN通信環境を構築した。更に、構築した検証環境を用いて、ICN/CCNを応用したコンシューマモビリティ機能、および、ネットワーク内キャッシュと符号化技術を駆使した高速なデータ損失復元機能を持つシステムを検討し、評価を行った。今年度の研究活動に大きな支障が無く、研究成果として、提案方式と評価結果をまとめた論文が国際会議IEEE CCNCに採録され、また、既に構築した検証環境を引き続き利用することで円滑に研究活動が行えると判断したため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、オープンワイヤレステストベッドR2LabおよびオープンソースソフトウェアCeforeを用いて検証・評価環境の構築を行うと共に、受信者(コンシューマ)モビリティの設計と検証を行った。次年度では、引き続き、関連研究調査を継続させ当分野に精通した研究者と情報交換を行うと共に、送信者(プロデューサー)モビリティの設計と検証を推し進める。検証環境は、今年度にて実装し構築したものを利活用することで時間的コストを省き、新たな実装と検証を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当初予定していた旅費(国外)に関し、コロナウイルスの影響によりIETF/IRTF国際会議開催(3月)が中止となり、今年度の旅費使用を見送ったため。これに伴い、次年度は約180万円の使用見込みがあり、使用計画として下記の通り遂行する予定である。 (使用計画) 【物品費】実験用計算機(120万)【旅費】国内(10万円)、国外(40万円)【その他】学会参加費など(10万円)
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