本研究では、今後更なる発展が見込まれるIoT(Internet of Things)のモビリティ通信に着目し、移動ノードが実行する通信の高信頼化と効率化を図るべく、情報指向ネットワーク技術(ICN/CCN)の適用検討を行うとともに、ICN/CCNを用いた継続的かつ柔軟な検証を行うべく、実ネットワークとシミュレータが融合した検証環境を検討し構築を行った。 本格的なIoT社会の到来により、様々なデバイスが通信機能を持つ移動ノードとしてデータを送受信することが予想される。しかし、通信劣化や断絶によりシームレスにデータを送受信できない可能性がある。また、従来のクラウド技術では、一旦データをクラウドに蓄積させることで、オンデマンド方式によりその情報を取得したい受信ノードへ配信する。しかしこの方式では、リアルタイム性が著しく損なわれると同時に、通信がサーバへ集中するため効率的ではない。 本研究の目的は、IoT社会に適した柔軟な通信プロトコルを検討し、モビリティ通信の高信頼化と効率化を行う通信技術を開発することである。アプローチとして、ホストセントリックなIP(Internet Protocol)ベースの通信とは異なり、情報を通信の中心に据えた近年注目されているコンテンツセントリックなICN/CCN技術の応用を検討した。ネットワーク内キャッシュと符号化技術を用いて、コンシューマモビリティの設計と検証を行い、従来技術よりも高いQoE(Quality of Experience)を達成できた。また、ICN/CCNを用いたモビリティ通信の検証を継続的かつ柔軟に行うべく、実ネットワークとシミュレータ上のネットワークが融合した環境を検討し構築した。
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