研究課題
本研究課題では、量子計算機に耐性を持つ次世代暗号技術である耐量子計算機暗号(PQC)の安全性の解析を目的としていた。特に、多変数連立方程式の求解困難性をベースとした多変数多項式暗号(MPKC)におけるグレブナー基底攻撃・ランク攻撃の解析や、さらに様々な方式における安全性解析が主な目的であった。本課題で得られた主な研究成果は、以下の通りとなる。グレブナー基底攻撃・ランク攻撃に関して、攻撃で現れる方程式系に付随するsolving degreeやdegree of regularityなどの不変量に関する先行研究を調査し、さらに特定の攻撃に現れる方程式系に対する不変量について考察し、より妥当な計算量評価を導出する研究を行なった。次に、これまで提案されたMPKC方式に対する安全性解析をいくつも行なった。例えば、主なものとして(i)BAC-UOV署名方式の巡回行列の代数的脆弱性を利用した攻撃の提案、(ii)NIST PQC標準化計画の第3ラウンド候補であったRainbow署名方式に対するRBS攻撃の精密な計算量評価、(iii)2023年に始まったNIST PQC追加公募の候補である多変数署名方式SNOVAの安全性解析、などが挙げられる。(i)については、BAC-UOVの構成アイデアを拡張し、東京大学、NTTと共同で署名方式QR-UOVの開発を行なった。(iii)については、この結果を第5回 NIST PQC Standardization Conferenceに投稿し、2024年4月にアメリカにて発表することが決定している。 本研究課題を通して、14本の論文が査読つき論文として採択され、18件の学会発表を行った。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)
APKC2024
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Mathematical Foundations for Post-Quantum Cryptography, Mathematics for Industry, Springer
2024 Symposium on Cryptography and Information Security
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電子情報通信学会技術研究報告
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