研究課題/領域番号 |
19K20278
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
夏川 浩明 京都大学, 学術情報メディアセンター, 特定講師 (90712951)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 情報可視化 / 非線形状態空間再構成 / 動的ネットワーク / 視覚的分析 |
研究実績の概要 |
本研究では計測された時系列データのデータ間の動的な関係性を定量化し背景のシステムの理解を深めるために、非線形状態空間再構成(State space reconstruction: SSR)を用いた解析手法によりデータ間の動的な関係性を定量化する手法を開発し、定量化した関係性から動的ネットワークを構築する。また、これらの解析ワークフローとインタラクティブな可視化技術を結び付けてユーザー理解を促進することで、生態学や神経科学等の自然科学分野知見創出のための動的ネットワーク分析のための可視化システムの構築を目指す。R3年度の実績としては、R2年度までに作成した、Empirical Dynamic Modeling(EDM)と可視化技術を組み合わせて実現した、動的ネットワークの状態と遷移の解釈を支援する可視化分析システムについて、EDMの研究を主導してきた米国の研究者と議論をしながら、機能要件の再定義や解析をサポートする情報可視化技術の開発を進めた。また拡張性の観点からEDMの計算としてpyEDMというpythonのlibraryを利用できるように一連の解析プログラムを修正した。これらの取り組みをR3年9月に国際会議JSST 2021のPlenary Talkで発表、第5回ビジュアリゼーションワークショップの基調講演で発表した。以上の成果を踏まえ、引き続き最終年度に、更なるシステムの改良や、生態学以外のデータへの適用による知見創出を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況としては、非線形状態空間再構成法(SSR)により計測時系列データ間の時間変化する関係性を計算する手法(Empirical Dynamic Modeling: EDM)により、動的ネットワークを構築し、t-SNEやPCA、UMAPなどの種々の次元削減法を利用し、動的ネットワークの状態を特定し解釈するための可視化解析システムのプロトタイプを実装し、要件再定義などの議論を行いながら、手法の改良を進めている。これらの結果について国内外の学術会議の基調講演で発表を行った。これらの進捗を鑑みて、概ね順調に進捗していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、R3年度に実施した動的ネットワークの可視化分析システムのプロトタイプの改良を引き続き行う。特にR3年度の機能要件の再定義や解析をサポートする情報可視化技術の開発を進め、最終的には可視化ツールとして多くのユーザーに提供できるようにWebツール化を目指す。その際に拡張性の観点からEDMの計算としてpyEDMというpythonのlibraryを利用できるようなシステムを構築する。また、ユーザー実験も考慮に入れたシステム評価に取りかかる。以上を踏まえて、動的ネットワーク解析と可視化の新たな方法論を提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
R3年度に解析手法の研究を主導してきた米国の研究者との打ち合わせのための出張旅費等を計上していたが、コロナ禍のため米国出張などの予定がR4年度以降に変更となったため、一部を繰越し、最終年度の可視化システムのプロトタイプ改良のための経費に充てることとする。
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